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Foreign Affairs

  • CFR: フォーリンアフェアーズ英語版

フォーリンアフェーアズ英語版ダイジェスト

2015年6月13日 (土)

世界の経済

「日本国が中国に罰を与える方法」
環境問題で中国を批判し、安倍晋三がダライ・ラマと会うことだ。
ダライ・ラマは、チベットの「シャングリ・ラ」という桃源郷を保有しており、
これを考えたのはジェームス・ミルトンであった。
これをよく理解しているヨーロッパ諸国は簡単に中国に罰を与える方法を知っているのだ。
河合その子- シャングリラの夏

ジェームズ・ミルトン「シャングリ・ラ」翻訳。
この国には宋美麗はいないのかよ?


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中国の20%の人民が都会へ「国内移民」している。
人口の数では世界で四番目の国家となる規模のものだ。 
社会保障などで不利な扱いを受けている「二等人民」は、毛沢東の「田舎好き」に端を発している。
この二等人民の35%が、大卒であるが、低所得を余儀なくされている。
彼らは都会の人とコーヒーを飲むことを18年間、夢見てきたのだ。
上海の大学に来た学生が、就職して都会で貯金できるお金が、田舎に帰ると22年かかることから、田舎に帰るという選択肢がなくなるのだ。 
中国は2017年1月に非政府組織(NGO)を承認し、1万の団体が認められた。
寄付などが非課税で、健康、環境、貧困などで「国連やアジア投資銀行に荒らされるよりはマシ」として、国内の団体にこれらの解決を委ねた。


1949年、ポール・ホフマンは、経済危機を脱するためにヨーロッパの統合の必要性を指摘した。ほとんど本能だった。
しかし、詳細が詰められていなかった。
1949年、マーシャルプラン。平和的食事の普及がヨーロッパ内部の関税をなくした。
平和と繁栄につながると思われた。
フルブライトは、統一は政治的に行われるべきだと指摘した。
言語と経済の違いがあったのだ。
しかし、巨大な経済市場であることがわかった。
賃金の上昇が起き、いずれは関税障壁をなくした方がいいと思われた。
西ヨーロッパで二億七千万人の民。
巨大な低コスト産業。
1951年アイゼンハワーが、細分化されたヨーロッパを批判した。
コストの無駄と、労働力の移動の困難さがあった。
フランスやベルギーの企業、工場。
ドイツの資金力。
オランダの農場。
イタリアの職人が奇跡を起こすだろうとされた。
パッチワーク状の領土の壁は、地域の利益を優先させ、ピラミッド型の身分制社会の問題点をあぶり出し、労働の自由を奪い、不満が募った。
イギリス連邦やアメリカ合衆国のようになるためには、答えは「西ヨーロッパの統合」しかなかった。

中国の経済成長率は7.4%だった。この四半世紀で最も鈍い。2015年はもっと下がる。
経済アナリストは中国の繁栄に懐疑的だ。、2013年に、ポール・クルーグマンは、中国が万里の長城にぶつかるだろうと予測した。
小康社会(ニューノーマル)。終わりの始まりだ。
キャッチアップ成長モデル。
1870~1913年、アメリカ。
1928~1939年、ロシアの4.6%。
1950~1973年、日本の9.3%。
1978~2011年、中国の10%。
中国はもはや購買力では、アメリカをしのいでいる。しかし、2019年まではアメリカを越えることはない。
超高層ビルへの関心は、
1900年に、アメリカと比べて0.01%。
1950年に、1.2%。
2000年に、34%。
2011年に、アメリカを越えた。
小康社会へのシフトはすでに始まっている。
第12次五ヵ年計画が2011年~2015年にあり、
4500万の雇用創出を達成し、
第三次産業は2010年の43%から48%になり、これも達成。
技術イノベーションは2010年の1.75%から、2015年の2.20%へ。
知的財産権への取り組みも行っている。
社会保障は95%の人民をカバーした。
環境問題とも向き合っている。
中国は「量より質」を目指している。
消費がその推進力だ。
そのためには雇用が鍵となる。
国際社会に影響を与える。
もはや世界経済の発展の中心ではなくなるとされる。
2000年から2013年まで世界経済の発展の23%を支え、アメリカは12%だった。
2020年までは、中国は世界経済の発展の25%を支えるとされている。

TPPは、もはやアメリカ主導ではなくなっている。
2016年の大統領選挙、2017年の議会選挙が11ヵ国との交渉の鍵だ。
2017年までの交渉を乗り越えるのは第二次世界大戦の教訓があるからだ。
アジア地域を奪い合った帝国主義の時代だった。
東京とソウルが話をしている限り戦争にはならないが、中国が西太平洋への野心を見せている。
AIIBは賢いかもしれないが、得るものは少ないだろう。
2025年にアメリカの所得はTPPによって0.4%高まる。
日本は2.2%高まる。
マレーシアは6.6%。
ベトナムは14%高まる。
日本が農業を開放したらアメリカは儲かるが、日本経済はもっと豊かになる。
日本の家計は、14%を食費に費やしており、
アメリカは6%、英国は9%となっている。
1990年代に、アメリカで生産性革命が起き、技術革新を推し進めた。
これがアメリカの軍事費を抑えた。
第二次世界大戦後のアメリカの内需が自由貿易を妨げた。
しかし、三分の二の所得が上位1%に集中し、労働組合が反発した。
貿易は。10~20%しか不平等を解消しない。
最低賃金、税金、学校。
貿易で職を失うと給料が20%減る。
海外の支持がなければTPPは進まないとアメリカは考えている。
アメリカはごく一部の支持者のサポートだけで貿易について決めてきた。
それはしばしば国益よりも優先された。
アメリカは「自滅の交換」を行ってきた。
最恵国待遇(MFN)という手法を核心に据えてきた。
日米が最恵国待遇をいろんなところに広めたのだ。
牛肉、豚肉の貿易はオーストラリア、カナダにも波及した。
日本のアメリカからの輸入の自由化が、東京のレバレッジ(てこ)を減らした。
日本の4千6百万世帯のうち十万世帯が牛肉、豚肉に関与しているし、日本の自動車部品のアメリカへの輸出の関税を減らした。
ニュージーランドが食品の輸出で日本に興味を持った理由でもある。
投資家紛争解決システム(ISDS)により、逸失利益を政府に要求できる制度がある。
国内裁判所でもWTOでもない。
R.J.レイノルズが、カナダ政府に補償を求めた。
フィリップモリスがオーストラリアに求めた。
アメリカの企業が外国国家に補償を求めることが多く、20~50%の企業が勝訴する仕組みだ。

インドのモディが、独立以来の反イスラム暴動に直面し、中東地域への関心を高めた。
アメリカが中東地域への関心を失い、この地域は何らかのグレートパワーを必要としていた。
インドには二つの武器がある。
国家予算と、国のイメージであるゲットーだ。
インドは自分達の歴史を自覚した。
もっとも古い歴史や文明があったのだ。
1990年代に、ネルーは文明と歴史を背景にニューデリーを外交の表舞台に出したが、あくまでも第三世界のものだった。
モディは、アメリカを訪問し、超大国の外交の教訓をまなんだ。
繁栄と貧困の減少から、インドは中東と関わる力を得た。
インドと中東の貿易は、2013年~2014年に1870億ドルになった。
インドはエネルギーが必要だし、中東は労働力が必要だった。
400億ドルを労働者は本国に持ち帰っていた。
モディの「西と繋がれ」政策はイスラエル、アメリカ。
「東と繋がれ」政策は、バーレーン、オマーン、アラブ首長国連邦。

2012年3月26日 (月)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその13

中国の次世代リーダーを待っているもの
30年前に鄧小平が中国経済の改革開放を進めた時には、経済の自由化と同時に、政治も民主化に進むと思われていた。当時の中国の人口は今の三分の一だった。やがて、中国経済は90年代に入り発展し、人口は三分の二になった。人口は海岸地域に流入したのだ。
中国の問題がやがて明らかになった。「経済格差」「土地が足りない」「労働環境の悪さへの不満」の三つだ。
中国は、経済発展とともに「土地が足りない」という問題に直面したのだ。これは「領土的野心」とつながると考えていいだろう。しかし、中国の政治体制の動きは鈍い。
地方の貧困層が、都市に流れ込んで、労働環境は悪いけど「地方にいるよりはマシ」と考える連中に政治的不満がたまっている。
さらに、地方で暴動が起きると地域のリーダーは獄死したりする。それを重く見ているのはむしろ国家の中枢だった。地方の改革を中国政府は頭に入れている。しかし、地方政府の連中は「まだまだやるべきことがある」と中枢への不満を隠さない。中国は国家レベルで確実に分権化に向かっているのだ。
中国はGDPは飛躍的に伸び、GDP比での国家財政もあまり変わらないため、国家の財政は豊かである。彼らの税収は消費税に依存している。また、国営企業の収入にも依存しているのだ。しかし、財政が豊かになっても社会保障や医療などに支出は向かっていない。インフラ重視の支出に対して、労働者の不満は大きい。
中国人民の「経済的満足度」は世界の24位に入るに至っている。しかし、経済格差はもはや容認できない水準に到達していることと、土地が足りないことなど、内政面での課題は多い。
それをよく理解したうえで日本も中国という国を見ていかなければならないだろう。

アフガニスタン~アヘンの花嫁
アフガニスタンでは、農業の20%がアヘンを栽培しているのだ。そして、その3分の2がヘロインに精錬されている。世界レベルでは650億ドル規模のビジネスであるが、アフガニスタンは40億ドルをアヘン栽培で得ている。実は、アフガニスタンのアヘンやヘロインは、イランに密輸されてヨーロッパへとつながっているのだ。この密輸の際に、リスクがあり、逮捕されたら全財産を失う人がいる。リスクのある仕事で財産を失った人は「娘を売るしかない」のだ。アフガニスタンでは、娘は数千ドルで売れる。通常の奴隷なら70ドルだ。彼らの国では何十歳も上の男と若い娘が結婚するのだ。それが男の名誉とされている。スンニ派では16歳未満の結婚は禁止されているが、シーア派ではそういう規制はない。
そのようなことから「アヘンの花嫁」が人身売買されているのだ。この実態を、アメリカが映画として公開した。タリバンは国際世論に配慮して、アヘンの規制を表向きは表明したことがあるが、彼らの資金源を放棄するわけがなかった。
今後、アフガニスタンの地でアヘンを撲滅するには数十年かかるだろうと言われている。
アフガニスタンで良識がまかり通るという状況ではないのが現状なのだ。

アメリカが宇宙計画の継続を表明
国家のプロジェクトとして知られるのが、万里の長城であったり、ピラミッドであったり、秦の始皇帝の墓であったりするが、これらは「王朝への敬意」「利益の追求」「軍事目的」の三つの理由があって発動されるのが通常だ。
アメリカも「宇宙計画」がこれらのメリットにつながると考えて、オバマは宇宙計画の継続を表明している。場合によっては一兆ドルもの費用が必要だとされるが、アメリカのメリットになるという判断だろう。

アフリカの子供たち
全米で「コニー2012」というフィルムが公開され、ウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍」のコニー一派が、数万人の子供たちを誘拐し、兵士にしたり、配送人にしたり、料理人にされたりと、都合のいいように利用していることが明らかにされ、アメリカで関心が高まった。彼らは時に虐待され、搾取され、レイプされているのだ。他にも、アフリカではソマリアが飢饉を起こして、2月に終息したが、子供たちがリスクにさらされている。また、コンゴでも子供のレイプは問題になっている。世界で最も新しい国である南スーダンも体制が不安定であることから、子供たちの問題がある。
「アフリカの子供たち」というテーマを論じる場合には、具体的にはこれらの国を指摘しなければならないのだ。

中国と南シナ海
中国が、南シナ海で6か国を相手に攻撃的な姿勢をとっていたことが知られていたが、最近は、ベトナム漁船などの拿捕と近海の島での拘束などを行わないなど、非常に態度を軟化させたと言われる。
アメリカによると、2010年ごろからこの兆候が見られたとされる。
ASEANなどでも鄧小平の定めたコードを重視し、石油資源の配分などの話し合いに応じる姿勢を見せている。
「中国は南シナ海でのUゾーンで攻撃的」という論調は急激に変化を見せたのだ。

2012年1月 2日 (月)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその12

アメリカはアフガニスタンで何をしたいのか
アメリカがアフガニスタンにいまだに6万人の兵を駐留させているのには理由がある。日本には入管があり、戸籍があり、外国人登録制度がある。住宅地が整備され、森林整備も進んでいる。しかし、アフガニスタンという地は、統一された統治機構がなく、山岳地帯に隠れれば誰も手が出せない。ここに「アメリカの一般市民を殺してやろう」という意思をもった連中が隠れた。世界を探してみた結果、「一番居心地のいい場所」だと分かったのだ。この分析を終えたアメリカが、アフガニスタン東部に狙いを絞ったのがアフガニスタンの問題だ。むやみやたらに世界を制覇したい国なんてどこにもないしカネもない。
インドも中国もロシアも「自国の市民を殺してやろう」という勢力を抱えている。そういう連中も当然「アフガニスタン東部」を隠れる場所と見なしている。しかし、ここで一生懸命アメリカが活動していることを、イランやパキスタンは「インド、中国、ロシアはアメリカにフリーライドしている」と発言している。実はこれが真実なのだ。アフガニスタン東部は、日本で言うと「オールナイトのサウナ」であり、一番危ない連中を安くかくまう場所となっているのだ。
このような「テロの温床」となっている地域には、一番いいのは「豊かになってもらうこと」なのだ。そうすれば地域が安定する。アフガニスタンはそのため、イラン・インド・中国のみならず、日本からも資金を呼び寄せる可能性がある。しかし、パキスタンは「となりに豊かな国が存在してほしくない」と考えているのだ。
ソマリアやイエメンも「オールナイトのサウナ」のような危険性をもった地域になる可能性はある。しかし、アメリカはすべての危険をゼロにすることはできないし、国際政治である以上、一定の判断が必要だ。オバマは「2014年までにアフガニスタンのアルカイダを弱体化させる」という目標を定めている。これが現在のアメリカの判断なのだ。

習近平の訪米~米中の不信感
習近平がアメリカを訪問したが、オバマとの会談で明らかになったのは「さまざまな面で信頼関係が構築されていない」ということだった。アメリカは2010年に「中国は軍事的に弱いうちは軍事情報を秘密にする」という情報をつかんでいた。軍事に関する説明不足は、予測不能な軍事衝突を招きかねない。さらに、イランへの経済制裁はアメリカの最重要課題であるにもかかわらず、中国は協力しない。また、シリアへの人道的な救済措置にも中国は拒否権を発動している。中国に関して考えなければならいのは、「知的財産権の尊重」「食の安全」「環境問題」をはじめとする、法律の適正な執行や、地方の貧困層の経済発展などの問題を解消しなければ、「隣の国ともうまくやれないだろう」ということが認識されていることだ。アメリカは「人権」においては世界のチャンピオンだということなのだ。
オバマは大統領に就任した時には、ダライラマとの会談を延期してまで中国を訪問している。しかし、今は米中の関係に「信頼感がかけているのではないか」ということが指摘されている。
米中の間に求められているのは「お互いの国をよく見る」「その国の今後の動向を予測できる」「動向に敏感になれる」という3つの基本的なことなのだ。

マリオ・モンティとイタリアの病巣
イタリアのマリオ・モンティ首相が、オバマに賞賛されてアメリカから帰国した。緊縮財政と増税、規制緩和などの政策を成功させ、イタリアの財政危機を救ったからだ。この国は、冷戦後に共産党や社会党が政権を握って強烈な財政出動を行った。また、キリスト教民主党も同様のことをやっていたのだ。北部同盟やマフィアの存在などもこの国には挙げられる。これらの改革の旗手としてベルルスコーニが出てきたが、彼自身が法律には必ずしも従わない存在だったとされる。
そのような状況で、EU委員会からアカデミズムに身を置いていた「スーパーマリオ」と称されるマリオ・モンティが首相になった。彼の役割は「数世代にわたるイタリアの病巣の改革」にあり、彼の後継者ですらその路線を選択しなければ、イタリアは政治的にも経済的にも破綻するとされている。マリオ・モンティが、現在のイタリアのカギを握っているのだ。

イランをどうするつもりだ
イランとアメリカの関係は、1979年のホメイニ師の革命から複雑化した。二つの立場がイランにはある。アメリカとの友好を望む立場と、アメリカは必ずイランと敵対するという立場だ。この二つの立場がイランとアメリカの関係を見続けてきた。
まず、1980年代にレバノン人質事件を解決してくれとアメリカはイランに要請した。この時に、イランの最高指導者カメネイは、アメリカが経済制裁や資産凍結を解除するだろうという楽観論にしたがって、アメリカの要請に協力した。しかし、アメリカはイランの楽観的見方を完全に裏切っている。その後、イランは生物化学兵器などの国際会議に参加することでアメリカの譲歩を狙っていた。
2010年にヒラリーが「イランのウラン濃縮を20%まで認める」とした。アメリカはIAEAの約束遵守を条件にしていた。しかし、その後、オバマがイスラエル問題について発言した時に、カメネイは「アメリカがイランの体制変革を狙っている」と悟ったとされる。
イランという地は、中東の麻薬密売や、コーカサス地方の政治、中央アジアの政治、アフガニスタン政策などの重要な役割を演じる場所であることから、アメリカとしては、イランの「二つの立場」をうまく利用しながら「敵対」だけではなく現実的に付き合うべきだとの声もある。

世界銀行が必要な理由
1930年代に金融恐慌が世界を襲った時に、世界銀行はブレトンウッズ複線システムとして機能したし、大戦中は、戦争で疲弊した国を助けた。しかし、その後、もはや世界銀行に公的に助けてもらう必要はないのではないか、と考える国が多くなった。だが、2008年にふたたび金融危機が起きた。世界銀行をなくすわけにはいかない世界の現状を見せつけていた。

歴史の今後
現在の世界経済は「中産階級を貧しくさせている」と言われる。しかし、左翼活動がまったく動きを見せないのだ。それどころか、アメリカやヨーロッパでは極右活動が表面化している。これは、イデオロギーの軸が存在しないことを意味し、「庶民が経済の議論ができなくなる」と指摘されている。
現在の「歴史の地図」はこの段階にあるとされているのだ。

イスラエルのイラン攻撃~その後どうするつもりだ
イスラエルは、中東の核保有には非常に神経質であり、1981年にはイラクの、2007年にはシリアの核施設を実は破壊していたのだ。
今回のイランの核施設攻撃は、しかし、「その後が読めない」ことが問題になっている。
イランは、ハマスにもヒズボラにもミサイルを供給できることから、イスラエルは実は「イランの反撃で5万人死ぬ」という分析もしているのだ。
イランの核保有に関しては、イランは「何でもやっていいというわけではない」として、イスラエルを至近距離からとらえられる連中に流すわけではないとしているが、
「今は落ち着いてゆっくり今後の対応を見極める」としている。
なかなかイランとイスラエルは激突しそうでいながら「どちらが大勢の死人を出すか分からない」という点で駆け引きが続いているのだ。

参考:フォーリンアフェアーズ英語版




2011年12月31日 (土)

キムジョンウン~世界最悪の職業に就く

フォーリンアフェアーズの資料が6つほど出ていた。アメリカにとって興味のない国である北朝鮮も「キムジョンイルの死」だけは分析の対象になったようだ。ジョンイルは父に死の十年以上前から後継指名されていて、成人して以降、ずっと国家統治の経験を積むことが許された。しかし、ジョンウンは28歳と若く、軍の四つ星の階級章をもらった時も笑って喜んでいたという。しかし、彼には軍での経験は全くなかったのだ。ジョンウンは喪が明けたら、まずは「自分の身を守る」という仕事がある。嫉妬や羨望が彼の地位には付き纏う。それらからどのように身を守るのか。すでに、有力な参謀はいるが、チャンソンテクなどの動きが不透明とされる。だが、今、北朝鮮が内戦になれば、貧困と飢饉の国はたちまち韓国に飲み込まれる。これがキムジョンウンの立場を守るだろうとされる。どのような政争が展開されても、彼らは小さな船の共同体なのだ。アメリカや韓国は、この若い指導者(いまだ誰も将軍様とは呼んでいない)を相手に核の放棄を強く求めるとされる。そして、体制崩壊を悲劇的なものにしないということは周辺国の一致した思惑なのだ。中国やベトナムのような改革開放は、韓国の豊かさを北朝鮮の民衆が知ることを意味し、北朝鮮のエリートが地位を守ることはできない。また、中国も、朝鮮半島に「二つの豊かな国」ができることを望んではいない。いずれにせよ、キムジョンウンはこれらの難題を解決するには経験が少なすぎる。どのように、誰が、北朝鮮を豊かにするのかという難題を解決するのかは明確でない。やはり「核の放棄」「体制崩壊を悲劇的なものにしない」という二つに絞って周辺国は今後を見通すしかないのだ。
参考:フォーリンアフェアーズ英語版


2011年11月12日 (土)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその11

「ヨーロッパの1848年と、アラブの2011年」
民衆は抑圧的な体制を打倒し、自由や平等を志向しても、破壊のあとに何が待っているかは分からないものだ。ヨーロッパではナポレオンがヨーロッパを征服し「能力のある奴は官吏に登用する」という発想を広めた。ナポレオンが退場した後に、ふたたびヨーロッパは抑圧的な体制に戻った。1840年代にヨーロッパ経済が停滞したため、民衆は再び動き始めた。「1848年」の登場だ。この時民衆はフランス革命を思い出していた。ナポレオンの甥がナポレオン三世として抜群の知名度を誇り、選挙でフランス共和国の大統領に選ばれた。また、オーストリア帝国ではメッテルニヒが民衆の蜂起に遭いその地位を失っている。プロイセンでこれを見ていたのがビスマルクだった。彼は「民衆の支持のない国王はもはやいかなる国も統治できない」と考えたのだ。また、治安の維持を路地裏まで保証しないと権力は維持できないと痛感したのだ。統治が民衆の利益にならないのならもはや体制は保証されないということを学習した。1850年以降ヨーロッパは経済が発展した。これがビスマルクを権力者の地位にまで高めている。民衆が革命で志向する「自由」「平等」をどのように具体的に画を描くかは、いろんな事例を学習しなければわからないし、
今のアラブの指導者は「ヨーロッパの1848年のデータ」の学習すら求められている。それが国家統治の技術となるのだ。
フォーリンアフェアーズ「1848年と2011年」

「アメリカがイランを攻撃する可能性」
アメリカがイランの核保有をどれだけ深刻に受け止めているかが明らかになっている。イランが核をもてば、国力は明らかに充実する。さらに、ライバル国家であるサウジアラビアもパキスタンの支援を得て核保有に踏み切るのは明らかだとされる。このことから、アメリカがイランの核施設を攻撃する可能性が浮上した。軍事的には「失敗する可能性が強い」とも言われ、世界経済へのダメージも生じる。しかし、もし成功するのならアメリカの世界戦略の見通しはきわめてよくなるのだ。
フォーリンアフェアーズ「イラン攻撃の時」

「TPP~フォーリンアフェアーズの分析」
TPPは、現在、オーストラリア・ブルネイ・チリ・マレーシア・ニュージーランド・ペルー・シンガポール・アメリカ合衆国・ベトナムで話し合われている。このメンバーで「10年以内の関税ゼロ」などが話し合われ、知的財産の問題や、国営のビジネスをどう組み込んでいくか、投資の問題を詰めている段階だ。しかし、これらのメンバーの最大の関心事が「日本はどう動くのか」という問題だ。このメンバーを見ればわかるように、「アメリカ以外は大したメンバーではない」ということだ。これに日本が入ればTPPの貿易の規模は3倍にも4倍にもなる。アメリカはこのため、韓国とFTAを締結した。日本に「ハイテク製品を日本ではなく韓国に求める」という圧力を加えたのだ。「日本の農産物へも配慮する」というメッセージも伝えられている。アメリカはすでに、アジア諸国の貿易圏が巨大化するのを見越しており、中国も「中国こそが巨大な国であり、他の国は小さい。それだけの話だ」と語っている。日本は、中国・韓国をにらみながらも、TPPに日本を高く売りつけるタイミングを見ているのだ。
フォーリンアフェアーズ「TPPと中国の膨張」

「エイズから解放された世代へ」
エイズに関する国際社会の取り組みのポイントは、死亡者数よりも新たな感染者数を低い数字にする、ということに尽きる。ところが、2010年に、エイズによる死亡者は180万人であるのに対して、新たな感染者は270万人だった。今までののエイズ研究は、どのように治療するかという点に多額の資金が投入されていた。しかし、感染者数は増え続けているのが現状で、もし、死亡者数よりも新たな感染者数が低い数字になれば、やがてはエイズから自由になれる世代が来ることを統計的には意味する。そのため、死亡者数>新たな感染者数という時代が来たら、エイズ政策が国際社会においても個人レベルにおいても一大転換点を迎えるとされる。今はこの数字に注目することが必要なのだ。
フォーリンアフェアーズ「エイズから解放された世代へ」

「なぜケニアはソマリアに侵攻したのか」
ソマリアで飢饉が起き、ケニアが2千名の兵を送り込んだ。ケニアの兵はよく訓練されており、有力な政治家とのつながりが軍人にあるとされる。しかし、ケニアはアフリカでは「平和の孤島」であり、ソマリアが犯罪の温床になってしまうことから兵を送ったのだ。コンゴやウガンダのように「軍が主導する」国家ではないが、政治もあまり信頼されていないのがケニアの特徴だとされる。
「ソマリアの飢饉」
アフリカでここ60年で最悪の干ばつが襲ったが、ソマリアでの飢饉は政治システムの機能不全から由来する人災だとも言われ、放っておけば750万人が死亡するとされた。アメリカは、この国が周辺国に助けを求めたことをむしろチャンスと考えたのだ。テロの温床であるこの国を改革するためには「助ける」という作業が必要になる。そのために、アメリカはこの飢饉を機に、ソマリアの体制が好ましいものになることを望んでいるのだ。

「ユーロの失敗」
1999年に立ちあがったヨーロッパの通貨統合「ユーロ」は10年と少し経過時点で失敗が明らかになった。あまりにも広大な地域を包摂したことが理由であり、財政赤字だけでなく、いろんな国が貿易赤字の問題を抱えた。さらに、フランスやドイツのような豊かな国が、ギリシャやイタリアに対して独裁的にふるまうようになったのだ。
これらの原点は、スエズ動乱の際に、西ドイツの首相アデナウアーが「もはや我々はアメリカには勝てないが、ヨーロッパが一つになるという道が生まれた」といったことに起源をもつ。政治的な動機はいまだ失われていない。EUはあくまでも政治目的であり、通貨統合の失敗はただちにはEUの失敗を意味しないと言える。
フォーリンアフェアーズ「ユーロの失敗」

「通貨の崩壊」
世界各国の外貨準備高の9割をドルとユーロが占め、外国為替市場の7割を占めている。しかし、ユーロの失敗は周知であろうし、ドルも昨年夏に、アメリカ国債の償還が政府の政策で簡単に左右されてしまうことが明らかになった。このことから、ロシアのプーチンは「アメリカは、ドルの世界独占と経済のグローバル化に寄生している」と表現している。
フォーリンアフェアーズ「通貨の崩壊」

「経済格差は経済にどのようにダメージを与えるか」
19世紀の社会主義思想を洗練させたのはまさに「経済格差」の存在だった。現在においては、経済格差は「財政赤字」「経済成長の鈍化」をもたらすことが指摘されている。経済格差による財政赤字というのは、金持ちが貯蓄に回る一方で、貧困層が借金と消費を行うことから、クレジット不安が起きることがあり、財政出動が必要になるという構図だ。また、経済格差による経済成長の鈍化というのは統計的にデータがとれており、「経済の健康度」が悪化した時に経済成長は鈍る効果があるようだ。だが、これらの明確な効果は認められるものの、「格差是正」を政治の側が政策として明確にしていいとは限らない。人間がエネルギーを使うためには動機があり、その動機によって経済格差がもたらされているのなら、その自然な人間活動を抑制するべきではない。しかし、貧しい人々にチャンスを与え続けるという発想は忘れてはならない。
フォーリンアフェアーズ「経済格差は経済にどのようにダメージを与えるか」

「シリアの今だ止まらぬ暴動」
春に起きたアラブの暴動が、シリアでは年を越してしまったのだ。死者はすでに6千名を超えた。フランスは「人道的回廊」という名の支援物資を送ったし、国境を接するトルコはシリア北部に「セーフゾーン」と呼ばれる緩衝地帯を設定した。国連も医療などの支援を行っている。アメリカはこれらへの介入を検討している段階だ。問題は、反体制側が部族対立などで一枚岩ではないことだ。シリア国民評議会(SNC)が何らかの統一を果たして、周辺国の承認を得ることが求められるが、それは容易なことではない。アサド大統領は、アメリカも「すでに死に体である」と言っており、現在のシリアは間違いなく体制移行期に位置すると言っていい。
フォーリンアフェアーズ「シリアのいまだ止まらぬ暴動」

「シリア~中東におけるロシア最後の友人」
ロシアは今のアサド大統領の父が冷戦時代にロシア側に属したことから友人関係が始まっている。しかし、現在は、武器の売却などの経済の取引においては「ロシアにとってもはやシリアに魅力はない」と考え始めたのだ。そのシリアで今暴動が起きている。シーア派の政権でありながら、民衆の多くはスンニ派である。これはバーレーンとは逆の構図だ。これがシーア派の庇護者を任じるイランとの関係も構築する。ロシアは、「イスラムとの付き合い方を間違えると、コーカサス山脈の向こう側の領土の政治にかかわる」と見ていて、安易にシリアを切ることはできないのだ。ロシアには、いまだにアメリカの動向を常に重視している連中がいて、アメリカや国連は「戦争の前に必ずノーフライゾーン(飛行禁止区域)を設定している」ということをロシアは学習している。そのため、ロシアは「アメリカがリビアにやったことをシリアにもやるのではないか」ということを懸念し、事態を見守っているところである。
フォーリンアフェアーズ「シリア~中東におけるロシア最後の友人」






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2011年10月17日 (月)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその10

「ハッカニはどのように勢力を増したのか」
アフガニスタンには、カイバル峠からのルートが知られているが、タリバンは南の方のクエッタをベースにアフガニスタンの出入り口を確保している。南に出入り口を確保しているから、アフガニスタンのカンダハルも掌握している。しかし、カブールの方の政治は極めて混沌としてしまったのだ。北部同盟のラバニ氏が暗殺されたことがきっかけだ。ラバニ氏を暗殺したのが、クエッタをベースにしたタリバンだとするならシナリオは簡単だ。調整役として影響力を強めようとしたラバニ氏をタリバンが消したことになる。しかし、パキスタンの情報部が「ハッカニネットワーク」を利用して消したという可能性が濃厚になったのだ。パキスタンがアフガニスタンの「調整役」を消したということはアメリカにとっても大きな裏切り行為であり、何らかの説明が求められる。さらに、パキスタンの情報部と密接なつながりがある「ハッカニ」とは何かという分析も当然必要になる。いわば「ファミリー」であるが、現在のアメリカの分析では、将来的にはファミリーの誰かがアフガニスタン統治の中央に出てくる可能性があるとされている。南部で強いタリバンに対して、カブールでパキスタンを背景に影響力を強めているファミリーであると位置づけられる。
フォーリンアフェアーズ「なぜワジリスタンでハッカニは影響力を強めたのか」

「ヨーロッパの極右の行方」
ヨーロッパではどの国でも「反イスラム」を標榜した政党があり、フランスではルペンが大統領の座すらうかがっているし、イタリアではムッソリーニの孫娘も政治活動をやっている。ノルウェーではブレイヴィクが「純粋な」ノルウェーを求めて大勢の人間を殺害した。デンマークでは中道右派政権が極右政党と手を組むまでに至っている。ヨーロッパでは、第二次世界大戦を終えて、平和と自由の名のもとに「他者を排除しない」というヨーロッパの空気を作ったが、同時に、1945年にローマに「ヨーロッパ社会運動」という名の極右活動が生まれていたのだ。それが現在、ヨーロッパで力をもつようになった。ヨーロッパの極右が用いる「反イスラム」のレトリックは「ヨーロッパの一番暗い時代」を理論の基盤にしているとも言われ、もっとリベラルで他者に寛大なヨーロッパの本質をもう一度見つめ直すべきだという意見が根強い。
フォーリンアフェアーズ「ヨーロッパの極右の将来」

「国連とパレスチナのサスペンスドラマ、今と昔」
第二次世界大戦でユダヤ人がどのような目に遭ったかは周知だろう。イスラエル建国と国連への加盟は1947年となっており、国連ができてからわずか二年後のことだった。1975年に、国連は「シオニズムはレイシズムに分類できるのではないか」という見解を出している。1988年にPLOのアラファト議長が「独立宣言」を出しているが、歴史的意義を語る人は今はいない。オスロ合意などでも独立が語られるたびに、イスラエルは「ユダヤ人入植」を推進してきたのであり、1967年の停戦ラインというのはあるものの、そのラインの向うの7割をイスラエルが実効支配してしまっている。この停戦ラインでの独立はもはやまとまらない話であり、また、東エルサレムという「妥協の余地のない地域」をパレスチナが保持していることも、解決を困難にしている。そんな中で、パレスチナは国連での「完全な資格」(フルメンバーシップ)を求めたのだ。国連にいったい何ができるのかという意味では、パレスチナも懐疑的であるとされるが、不当な侵略などの国際法違反にはそれなりに役割を果たしてきたとされていて、少しでも物事を前進させるために、パレスチナはフルメンバーシップを求めているのだろうと説明されている。
フォーリンアフェアーズ「パレスチナと国連のサスペンスドラマ」

「なぜイスラエルはパレスチナ独立に投票すべきか」
パレスチナが、国連での「メンバーではない国家」としての承認の投票を年次総会に求めている。アメリカは拒否権を使って総会にかけるのを拒否しようとしているが、総会では140もの国家が「二つの国家という解決法」に合意しているとされる。解決法の基本は2000年にクリントンが示し、2011年にオバマが発展させた「1967年の停戦ラインでいったん合意したのちに、適正な領土の交換を行う」というものが現在示されている。これは到底イスラエルには容認できるものではないのだ。東エルサレムをパレスチナがもっているため、「西の壁」などの要所をパレスチナが「領土の交換」でどんな条件でも突きつけることができることになる。国際社会で140か国もの国家が「二つの国家という解決法」を支持してしまうことはイスラエルとしてはどうしても避けたいとされる。アラブ革命で、エジプトやシリアが体制不安にさらされたために、イスラエルが「シナイ半島やイスラエルの北部」で何らかの軍事行動を起こすことが懸念されているとされ、国際社会が、イスラエルにも「国連総会での投票に応じるべきだ」としているのだ。
フォーリンアフェアーズ「なぜイスラエルはパレスチナの独立に投票すべきか」

「リヤドとテヘラン~二つのライバル」
サウジアラビアはスンニ派の庇護者を自認し、イランはシーア派を自認している。この二つの国家は仲間でもあり、ライバルでもある。ともに、同じぐらいの石油・天然ガスの埋蔵量を誇る。このオイルマネーを背景にした二つの国家が中東を面白くしているのだ。サウジアラビアはイランの三分の一しか人口がないため、イランよりも人々は豊かであり、また、イランは核問題でアメリカの制裁を受けている。サウジアラビアは「石油の増産をして石油の価格を下げる」という戦術をとったら、もはや石油の増産が不可能となっていたイランの経済を直撃している。しかし、イランも負けてはいなかった。サウジアラビアの兄弟国であるバーレーンで暴動が起きたら、バーレーンがスンニ派が支配層であるものの、国民はシーア派が多数派であることから、サウジアラビアとは16マイルしか離れていないこの地への影響力を増そうと工作したのだ。しかし、軍を送るまでには至らなかった。また、イラクにおいても、シーア派の影響力を増すことにイランは成功しており、経済では劣勢に立ちながらも、政治的にはイランが勝っているのではないかとされている。また、レバノンの地においては、現政権はサウジアラビアの支援を受けた勢力が政権を維持しているが、イランはヒズボラを強烈に支援し続けている。この二つのライバル国家にアメリカがどのように関与するかが中東政策となっている。アラブ革命においては、イランは「イスラム勢力の目覚め」を期待したが、サウジアラビアにとっては革命は迷惑以外の何物でもなかった。アメリカは、パーレビ国王の追放以来、イランとは対立関係にあるとされるが、方程式のようにサウジアラビアを支持しているわけではない。非常に複雑な外交戦術をとっている。イランが核兵器を保有したら、イランが軍事的には一歩リードするのは間違いない。しかし、サウジアラビアもすぐにパキスタンの支援を受けて核をもつだろうとされている。そのために、イランの核問題は核不拡散の見地からも重要な問題となっているのだ。
フォーリンアフェアーズ「イランとサウジアラビアのライバル関係」

「イランの海への進出」
イランでは、現在、軍が二つの系統に分かれている。共和国の軍と革命の流れを受けた軍である。つい最近まで軍の船舶を三隻しかもたなかったが、現在は11隻、二年後には20隻にまで増やす予定だ。イランは2025年までに海軍の影響力をペルシャ湾のみならず、紅海からマラッカまで拡張するとしており、最近はしばしばアメリカ第五艦隊に船舶を寄せたりして、挑発的行動をとっている。ペルシャ湾をアメリカ第五艦隊が守っているのは周知だろうが、イランもようやく海に目を向けるようになったのだ。イラン・イラク戦争では45万人の地上部隊がいたが、「海」では案外貧弱だったのがイランなのだ。しかし、アメリカも「イラン海軍は念頭に置かなければならないだろう」としているようだ。
フォーリンアフェアーズ「イラン海軍のペルシャ湾での脅威」





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2011年9月23日 (金)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその9

「パレスチナ問題解決の公式なお葬式」
パレスチナの代表が国連へ加盟するという問題があるが、これにはアメリカが拒否権を用いる方向で動いている。いずれにせよ、オバマが提案した1967年の停戦ラインという提案は、イスラエルが占領した地域の70%以上をパレスチナが回復するという案であり、イスラエルは到底容認できないし、パレスチナも「これで解決したら再びイスラエルの侵略が起きる。オバマは問題を解決するつもりはない」と判断している。パレスチナの代表の国連加盟も、PLOが代表をすることから、「ヨルダン川西岸とガザ地区だけ」の代表となり、パレスチナの難民や移民を代表していない。つまり、パレスチナの三分の一の代表にしか過ぎないのだ。この経緯から、パレスチナ問題の解決は、長年の努力もとうとう「お葬式」を迎えたと言われている。事態は混迷を深め、結果的には「イスラエルとパレスチナ、つまり、エルサレムとラマラは永遠に争い続ける」ということになる運命のようだ。
フォーリンアフェアーズ「二つの国家の最終的なお葬式」
注)この記事は「パレスチナ問題」が恒久的に政治やジャーナリズムのメシのタネになることを意味することから、現場の記者がある種のむなしさを表現したものと思われる。パレスチナ関連の情報の翻訳を続けなければならない私も結構むなしいものがある。でも続けなければならない。

「イエメンの革命は乗っ取られた」
イエメンでの反政府運動は、チュニジアやエジプトに触発された形で起こったが、現在は、「3人のエリート」の争いになっているとされる。アルアーマー将軍と、ハミド・アルアーマー(将軍とは親族ではないそうだ)、そして、サレハ大統領の息子のアーメドの三人だ。アメリカ・イギリス・サウジアラビアという主要な「パワーブローカー」がこの国に関わっているが、サレハ大統領は爆弾による負傷でサウジアラビアで治療を受けていた。このサレハを、サウジアラビアはイエメンに戻すという選択を行っている。サレハを権力の座から引きずりおろそうという争いは収拾がつかなくなり、サレハは「パワーブローカー」諸国に権力の座にとどまることの承認を得ようとしたが、海外の資産を凍結されてしまった。民衆に銃を向けている以上仕方のないことだった。一方、ハミド・アルアーマーは、軍の一部を連れて民衆の側についた。民衆のエネルギーを活用して、大統領の座を狙っているのだ。ハミドの心にはインドネシアのスハルトの事例があるとされ「統制された混乱」によって権力を譲り受けようとしているとされる。サレハの息子も「共和制」を志向する勢力を指導している。10万人の民衆が主要都市に出ている現状から、イエメンは「破たん国家」になるのではないかともいわれている。この地域ではすでにソマリアがそうなっている。民衆の動向をにらみながら3人のエリートが対立している。それにパワーブローカーも現在のところ有効な手段を見いだせないというのがイエメンの現状なのだ。
フォーリンアフェアーズ「イエメンの革命は乗っ取られた」

「プーチンが戻ってくる」
2012年にロシアの大統領にプーチンが復帰することになった。今まで大統領だったメドベージェフは首相になる予定だ。今までのタンデム体制の立場を交換することになる。また、本来、力のある人が元の場所に戻るという意味合いがある。しかし、前回のプーチンの在任中とは状況が異なるのだ。「中国の膨張」「原油価格の下落」「海外にパートナーを必要としている」という3つの要素から、かつてのプーチンのような単独での強力なパワーを持つことはできないとされている。ロシアは「原油価格は最低でも1バレル125ドルは必要」というのが経済の現状だが、今は80ドル程度だ。一方のアメリカも、核軍縮にはロシアは乗ってくるだろうとみており、オバマはこれを軸にアフガニスタンでのロシアの協力を得たり、イランの核問題に向き合おうとしている。ロシアの人々は「将来の予測ができること」「国家の安定」「繁栄」を望んでいるというのが今までの発想だったが、今ではロシア国民の所得は10年前の倍になっており、これらの課題は「もはや当たり前」という状況なのだ。かつてのプーチンのイメージのままで次の大統領の任期を務めることはもはやできない。リーマンショックにおいても、G20の中で一番ダメージを受けたのはロシアだとされる。このことからロシアの財務大臣は積極財政に打って出て、財政収支を悪化させた。プーチンはその財務大臣を解任してしまったのだが、決して政策は誤りではない。また、極東、中央アジア、カスピ海、シベリアなど、かつて「ロシアが優越的支配を保持する地域」がすでに中国のものになりつつあるのだ。
いずれにせよ、来年からはふたたびプーチンがロシアの大統領であり、新しい環境でその職務を果たすことになるのだ。
フォーリンアフェアーズ「プーチンが戻ってくる」

「リー・クァン・ユーの遺産の破壊」
シンガポールの伝説的指導者、リー・クァン・ユーが、ここ数年の選挙で急激に力を失って、内閣の「名誉顧問」となってしまった。リー・クァン・ユーは「安定と繁栄と民主主義」をシンガポールにもたらしたが、もはや今の国民はその伝説を知らない。リー・クァン・ユーは「民主主義のバトンタッチは必ずしも安定と繁栄のバトンはつながない」「民主主義は好奇心を満たすが、より良い統治と、腐敗の防止、経済発展とは別の問題」と発言している。現在、リー・クァン・ユーの息子と、トニー・タン氏が大統領の座を争っているが、若い世代の指導者が抱える問題は多い。移民による町や公共機関での人の混雑、市場の冷え込みなどの問題を抱えていて、伝説的指導者が築き上げたものを正確に理解して、それを決して当たり前だと思わずに、シンガポールの「安定と繁栄」を維持できるのかは分からないとされている。
フォーリンアフェアーズ「リー・クァン・ユーの遺産の破壊」

「ペンタゴンとサイバースペース」
アメリカが軍の指揮系統にすでにコンピューターネットワークシステムを使用していることは知られているが、このようなサイバースペースを軍の指揮系統に使用している国は世界で30か国だとされる。それ以外の国は旧式の伝達システムを使用していることになる。このことから、「サイバー空間でのパールハーバー」が起きることが指摘され、オバマ大統領はペンタゴンに5億ドルの予算を割り当てて対策を練ることにした。ペンタゴンが民間の知識を借りるということは軍の機密情報を民間に分析させることを意味し、すでにその情報量はテラバイトの単位になって民間に知られている。このことから、アメリカ軍に対して悪意のある集団と「知識」が結び付かないようにするのも大事だし、いろんなセキュリティーシステムの構築が必要になるのだ。すでに、エストニアやグルジアでは「軍のサイバー攻撃」の被害が報告されており、決して想像上の問題にはとどまっていない。アメリカ軍の指揮系統を狂わせるということは、攻撃力を弱めることでもあり、「バイト」や「ビット」が「銃弾」や「爆弾」になることを意味する。戦争状態になったら、あらゆる「サイバー戦争」を想定しなければならないのである。
フォーリンアフェアーズ「ペンタゴンのサイバー戦略」

「パキスタン軍統合情報局(ISI)」
ムレン将軍がISIを指揮するようになってから、アフガニスタンの各勢力の和解に務めていたラバニ氏が暗殺され、また、パキスタンのアメリカ大使館が襲撃されるなどした。ハッカニネットワークというテロ組織が関与しているとも言われ、パキスタンは、アフガニスタンにおいて反パキスタンの立場の北部同盟だけでなく、アメリカとも敵対する意思表示を示したことになる。そのため、アメリカはもし、ISIがアメリカの大使館襲撃とハッカニとのつながりに関与しているのなら、何らかのレトリックでの対応が求められるようになる。公然と裏切った連中と付き合い続けるのには「説明」が必要なのだ。アフガニスタン政策にはアメリカは「パキスタンに依存しすぎである」とされ、もし、イランのチャーバハール港が整備されるのであれば、そのルートからアメリカはアフガニスタンに入れると言われる。今後の課題であろう。今現在は、パキスタンの各セクトに振り回されっぱなしなのが現状なのだ。北部同盟は反パキスタンの立場なので、インドのデリーも北部同盟寄りに動くことになる。今はパキスタンのムレン将軍がキーパーソンとなっているようだ。
フォーリンアフェアーズ「ムレンが掌握したISI」

「カタールのリビア介入の背景にあるもの」
カタールという小さな国が、エリートを擁することで、リビア問題の仲介役を務めた。なぜこのようなことが可能だったのだろうか。カタールはミラージュジェット機などを保有し、アメリカ空軍基地も協力的だ。しかし、基本的に「同時進行で多くの問題を背負うことはしない」とされており、リビアに関しても、反乱軍に味方した企業が石油を売り続け、アルジャジーラもインサイダー情報を報じ続け、リビアの制圧を成功させた。カタールは「シリアには介入する力はない」とも言われる。リビアのような広大な国土をもたないシリアは、リビアとは条件や複雑さが違うとされ、カタールのエリートも手を出さないのだ。
基本的に、イラク、ヒズボラ、ハマスなどの主要人物と交流を深め、西側とうまく行かない傾向のあるこれらの人物の仲介役を務めるのがカタールの主な仕事だとも言われる。そもそも、リビア問題のような大きな仕事をまとめる役割は求められていないのだ。
フォーリンアフェアーズ「カタールのリビア介入の背後にあるもの」

「アルジャジーラのカンファー氏の辞任」
アルジャジーラは、24時間のニュース放送を衛星を通じて行っている。1996年に創業し、それ以来、アラブ社会の情報をセンセーショナルに報じることで視聴者を獲得してきた。しかし、アラブの春は、たとえば、2009年に初めてアラビア語になったとされるフェイスブックなどを一気に普及させ、また、アルジャジーラももはや報道姿勢は中立ではない、という点が指摘されたりした。アラブ社会はもはや、情報が高くつき、非常に複雑化している。そんな中で、業績はいいとされているアルジャジーラの社長が辞任しているのだ。
フォーリンアフェアーズ「アルジャジーラのカンファー氏の辞任」

「パレスチナの国連加盟への困難な道」
パレスチナのアッバスが、アメリカの拒否権を抑えてでもパレスチナの国連加盟を目指している。しかし、オブザーバーになるにせよ、メンバーではない加盟国と説明されるにせよ、「仕組みを正確に理解していないのではないか」と指摘されるに至っている。いろんな交渉相手がいる中で「国連」というのは最後の言葉であり、それ以外に、何らかの有意義な選択肢だとは思えないのがこの国連加盟の問題だ。アッバスは、ラマラとブリュッセルの間で、パレスチナの英雄として「いつもの仕事」をしただけだとも言われ、問題の解決につながるとはだれも考えていないようだ。
フォーリンアフェアーズ「パレスチナの国連加盟への困難な道」





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2011年9月 9日 (金)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその8

「バーレーンの民主化とアメリカ」
アメリカはアラブの春に対しては「歴史的に正しい側につく」としているが、バーレーンに対しては非常に難しい立場にある。バーレーンは国王もカリファ一族で構成されており、非公選の首相も1971年から40年にわたって世界最長の任期を誇る首相をこの一族から出している。バーレーンの重要性は、アメリカと緊密な関係にあり、地政学的に湾岸の要衝にあることから、アメリカの第五艦隊がバーレーンに駐留し、湾岸の輸送ルートを守っていることにある。この輸送ルートの安全は西側諸国のすべてに恩恵をもたらしている。しかし、王政が抑圧的であり、腐敗していることから、民衆が体制の変革を求めた。この体制の変革はサウジアラビアをも直撃しかねない。サウジアラビアは、エジプトの民主化をアメリカが支持したことさえも「裏切り」とみなしていたのだ。カリファ一族には西側諸国で教育を受けた41歳の皇太子がいるが、この皇太子が、反政府グループとの妥協を模索しているのだ。首相を公選にしたり、議会を作ったりする妥協案を提示している。そうなると、アメリカは反政府勢力との連携の可能性も分析しなければならなくなる。このことから、この皇太子の対応がどこまで本気かは「投獄中の政治犯釈放」が試金石になるとされ、アメリカは第五艦隊の移転も視野に入れて、バーレーンの行方を見守っているのだ。バーレーンの民衆も、抑圧的体制が続くのなら第五艦隊すら必要ないと考えるまでに至っている。湾岸の石油の輸送と深くかかわった問題だ。
フォーリンアフェアーズ「バーレーンの民主化とアメリカ」

「市民社会とテロとの戦い~頭のいい対応」
イスラムがテロを起こす可能性は10年前に比べて著しく減少したのは事実だ。パキスタンで活動している主要な連中よりも、今となってはハリウッドで映画を作っている連中の数の方がはるかに多い。それでも、ニューヨークのマジソンスクエアガーデンでの自動車爆破未遂事件や地下鉄爆破未遂事件が大きく報道されている。平和な市民社会ほどセンセーションにこのようなものに反応し、テロリストを喜ばせている。安全すぎる社会は危ういものなのだ。危険を一定のレベルに維持する社会が一番いい。交通事故が起きたり、いろんな事故が必然的に起きるのが普通の社会だ。そういう「一定のレベルに危険を維持する」のがテロとの戦いに必要なのだ。
フォーリンアフェアーズ「市民社会と、テロ対策、情報戦」

「ボコ・ハラームへの対策は武器を使わないこと」
ナイジェリアの北部のイスラムを拠点にするテロリストグループ、ボコ・ハラームは8月26日に国連ビルに自動車を突入させて爆破させ23名を殺害した。この組織への対策に、アメリカや英国・イスラエルが動いたが、ボコ・ハラームを分析してみると、北部の貧困や腐敗を標的にしたムーヴメントであり、ブログも一週間以上更新されていない。イスラム国家の樹立を求める原理主義だが、その対策は、武器によって行うよりも、政治的・外交的手段によって行ったほうが有効であるとアメリカは考えている。そのために、西洋の科学を否定する連中にアメリカは、彼らのイスラムの伝統に根ざしつつも適切な教育を与える学校を各地につくるなどの対応を取り始めた。ナイジェリア北部にはすでに7千5百万人のイスラムがいて、これはアフリカのイスラム集団としては最大規模だ。これらの連中を力でコントロールすることはナイジェリア政府にもワシントンにも不可能だ。そのために、政治的・外交的な手法で彼らの運動の本質を分析し、危険な方向に向かわないように誘導するという対応をとっているのだ。
フォーリンアフェアーズ「ボコ・ハラームと戦うのに武器は必要ない」

「朝鮮半島の今」
朝鮮半島は今、どうなっているだろうか。韓国は経済発展が著しく、情報化、グローバリゼーション、民主化の波に乗った。そしてG-8の国以外で初めてG-20のホスト国を務めるまでに至っている。一方、北朝鮮は、核拡散の脅威であり、2010年11月には、朝鮮戦争終結以来初めて、韓国領内に軍が侵入し、軍人や民間人を殺害している。両国の動向は非常に対照的で、そのため、周辺国は、より大胆で柔軟な対応がとれるようになったと言える。この朝鮮半島の二つのライバル国家は、アジアの安全保障の主要テーマであり、周辺国もいろんな思惑をもって注視しているのだ。
フォーリンアフェアーズ「新しい朝鮮半島の地図」

「パレスチナの国連での一票と新国家の樹立」
パレスチナが今年の9月に国連で「メンバーではない国家」として国連の承認を得るという作戦に出た。これに対しては「あの地域を占領している国ではない国連を交渉相手にしてきた」と、その有効性を疑問視する声もある。オバマは1967年の休戦ラインを国境線とする主張に傾いているとされ、パレスチナの意向も同じだ。しかし、ガザ地区はパレスチナのハマスが占拠しているし、ヨルダン川西岸はパレスチナは40%しか掌握していない。ヨルダン川西岸は60%をイスラエルが制圧しているのだ。なによりも、東エルサレムの動向がシオニズムの問題から重要な争点となる。すべての地域を制圧していないのに独立を宣言すると、いつイスラエルの侵略が起きるか分からない。この地域は、中東の問題でもあり、世界の問題でもある。この地域をめぐって中東が動き、世界が動く。そういう地域で不安定な決着はつけられないのが現状なのだ。
フォーリンアフェアーズ「国連の票とパレスチナの新国家」

「ヨーロッパにとってのパレスチナ問題」
イスラエルとパレスチナの紛争に関しては、2009年にオバマがカイロでのスピーチで解決に向けて動くと宣言したが、オバマは1967年の停戦ラインを国境とするとしたことで、イスラエルはこれに激怒し、パレスチナは「オバマのせいで交渉は止まった」と判断している。今、アラブの連中は、事態を動かせるのはヨーロッパだけだと考えている。フランスやスペインの外相の動きに注目しているのだ。中東問題はヨーロッパの安全保障ともかかわっていることから、今はこの紛争の解決のキーはアメリカにはなくヨーロッパにしかないというのが、オバマの「1967年の停戦ライン」という発言のもたらした関係国の反応だったのだ。
フォーリンアフェアーズ「ヨーロッパにとってのパレスチナ問題」





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2011年9月 2日 (金)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその7

「リビアと人道的介入の将来」
リビアにおいては、カダフィが統治権を失い、まさにオバマ政権の外交的大勝利に終わった。背景には、ロシアや中国があまりリビアと利害関係をもっていなかったことや、他のアラブ諸国も自国に体制不安を抱えていたことなどから、アメリカやNATO、国連が非常に活動しやすかったことがあり、また、スーダンと異なり、リビアは地政学的にも攻撃しやすく、人口が640万人と少なかったことなども挙げられる。しかし、このリビアへのアメリカの介入は「人道的介入」と位置付けられるが、当然、リビア国内での残虐行為を念頭に置いているわけである。どのような理由でアメリカはリビアに介入したのかの説明は意外と難しい。ソマリアでは飢饉で320万人が亡くなるとされているのに、なぜアメリカは動かないのだろうか。これは、政治的複雑性が異なっていたりして、結局「コストに見合わない」などの理由で説明するしかない。今回のオバマの大勝利とは裏腹に、将来もこの「人道的介入」が何度も繰り返されることは想定されていない。それほど、国際法上の正当化が難しい軍事行動なのだ。
フォーリンアフェアーズ「リビアと人道的介入の将来」

「アルカイダ~アッティヤの死」
ビンラディンが死んで、後継者はザワヒリだとされているが、アメリカはアッティヤの殺害に成功したことを重視している。アッティヤは、9・11テロ後の十周年に再び何かの成果を残そうという手紙をビンラディンに出していたことをアメリカがつかんでおり、その動向を注視していた。アッティヤは戦術家としていろんなことを学習していた。アルジェリアでは村を焼き払ったが、そのような行為は、恐怖を引き起こすけれども、同時に強烈な憎しみにさらされることを知った。また、イランが必ずしもイスラムのみに立脚するものではなく、機会主義的で、プラグマティズムにもとづいて行動していることも学習していた。この戦術家の殺害に成功したことは、アルカイダにとってどんな意味を持つだろうか。ザワヒリに「次はお前の番だ」というメッセージを送ることになり、また、アルカイダの戦術の弱体化ももはや免れないのだ。
フォーリンアフェアーズ「アルカイダ~アッティヤの死」

「リビアに民主的な選挙が根付くまで」
カダフィが政権を追われても、いまだに武装した連中が対峙しているのがリビアの現状だ。国連は、選挙までに18か月間は必要と見ている。第二次大戦後に、選挙を急いだ国ほどそのあとに内戦が起きていることに学んでいるのだ。対抗勢力のどちらかが武力ですでに敗北していれば内戦の可能性は半分になるが、しかし、選挙監視団が結論を急ぎすぎると60%の可能性で失敗すると言われている。また、地方分権と自治が進んでいれば、内戦の可能性は五分の一にまで減る。要は、リビアに市民社会を根付かせることが大事であり、カダフィが残した官僚機構と、石油による富を活用しながら、腐敗をなくすことが必要だ。国連は、憲法をつくるのに6~9か月は必要としており、さらに選挙に関するルールを決めるのにさらに6か月は見ている。最終的には選挙をやらなければならないが、その前提やタイミングを間違えると、再び内戦が起きてしまうということはすでに国連がデータとして学習しているのだ。
フォーリンアフェアーズ「リビアに民主的な選挙が根付くまで」

「ボコ・ハラーム~ナイジェリアのテロ集団」
ボコ・ハラームとは、ナイジェリアのイスラムセクトで、警察や政治家、他のセクトを2009年以降、暴力的に攻撃し始めた集団だ。ナイジェリアは北部にイスラムが住み、南部にキリスト教徒が住む。経済格差は大きく、北部の貧困は南部に比べて極度に悪い。政治的には、イスラムのエリートがナイジェリアデルタの石油利権を背景に地域振興を図ることで基盤を固めている。大統領はイスラムとキリスト教徒で交互にローテーションしているが、現在はキリスト教徒のジョナサンが大統領をやっている。ボコ・ハラームは、モハマド・ユースフが2002年に結成している。14世紀の思想家イブン・タミーヤの急進的な思想に影響を受け、進化論の否定や、銀行というシステムを認めないなどの特徴があるとされる。警察や政治の腐敗を徹底攻撃し、北部の学生や専門職の人、さらにはナイジェリアのエリートにも食い込んでいると言われている。警察を敵視し、バイクでヘルメットをかぶらないなどの反抗手段をとることが知られているが、司法に敵視され、800人が殺されて、ユースフの義理の父まで殺されたことから、組織は攻撃性を強めてしまった。腐敗や貧困が背景にあるだけにボコ・ハラームは混乱したナイジェリアでも「テロの温床」としてアルカイダともつながりを深めている。ナイジェリアはアフリカでもっとも人口の多い国で、1億5千万人が住み、350の民族がいて、250の言語が使用されている。南部のキリスト教徒と北部のイスラムの衝突だけでも1999年以降1万4千人が死亡している。しかし、ボコ・ハラームは、キリスト教徒よりもイスラム教徒を多く殺しているのだ。「国家の水準の向上」というスローガンは一致しているが、主張は必ずしも統一されておらず、政策も具体性を欠き、宗教色が強い。急進的なイスラムということだ。2011年に国連事務所を爆破し、国際社会はこの組織の危険性を認識した。ナイジェリアの混乱がボコ・ハラームを生み出し、国際社会が認識するに至ったのだ。
フォーリンアフェアーズ「ボコ・ハラーム」

「アフガニスタン侵略、今と昔」
アフガニスタンを侵略した国はことごとく失敗するという伝説がある。その原因を「アフガニスタンにおける戦争」という本で明らかにしたのがピーター・トムセン氏だった。この国は非常にローカルな地域の独特な風習をもち、中央集権国家を嫌う国だ。国家として統合されておらず、無秩序な状態だ。トムセンは1989~92年の反ソビエトジハードにワシントンから派遣された経験を持つ。すべての国から押し付けられたイデオロギーにこの国は抵抗するとされ、大胆な政治的変革や、この国の文化や風習を理解しない侵略は失敗するとトムセンは言う。極度に分権化され、暴力よりもコンセンサスが重視され、部族や身内だけを大事にするこの国では、国家と呼べる仕組みができたのは20世紀になってからなのだ。カブールはしかし、全土を掌握しているとは言えない。そんな国に、ラムズフェルドは「欲しくはない国」であるアフガニスタンを侵略している。アフガニスタンの3000年の歴史を振り返ってみよう。ギリシャ・ローマ・匈奴・モンゴル・ムガール・ペルシャ・トルコなどが侵略したが、最初は強大な力で制圧しても、来た時よりも多くのものを失って帰っていくというパターンをすべての国が繰り返している。唯一、1939年の英国が、インドとソビエトの緩衝地帯として傀儡政権を立てるという作戦をとったことがある。この時ですら、16000人で訪れた英国軍は、1942年の内戦で「生還者一名」という結果に終わっている。英国はアフガニスタンで同じことを三度繰り返した。1979年のソビエトのアフガニスタン侵攻においても、最初は歓喜の声が上がったが、マルクスレーニン主義がこの国で反発を受けた。アフガニスタンには「プロレタリアート」と呼べる人がいないとされていた。ソ連は絨毯爆撃を繰り返したりした。モスクワは統治の失敗を悟り、傀儡政権を立てたが、ことごとく裏切りが続いた。クリントン政権は、アフガニスタンに関心がなく、「何か起きたら対応する」という政策をとった。アメリカのアフガニスタン政策の失敗は「パキスタンに頼りすぎる」ことにもあるとされる。世界で五番目に核兵器技術が豊富なパキスタンはCIAも利用しやすいが、テロの温床ともなってしまうのだ。パキスタンのカイバル峠とスピンボルダックしかアフガニスタンに入る道はないとも言われ、パキスタンがこれをうまく活用している。このようなアフガニスタンを周辺国がうまく統治する可能性があるとすれば、アフガニスタン内部に「正直で有効な」統治機構が必要とされ、「常識」という当たり前のことがまかりとおらなければならないとされる。そういうレベルから国家をまとめていかなければならないのが現状なのだ。
フォーリンアフェアーズ「アフガニスタン侵略、今と昔」

「アフガニスタン~その地をならす戦争」
第二次世界大戦においては、60%のアメリカ人が週に一度、映画館に足を運び、戦争映画を堪能し、これが戦意発揚の効果を上げた。ベトナム戦争のときはテレビが普及し、各局が「血が流れたのなら報道する」という姿勢をとったため、6万人の死者を出したベトナム戦争は「不人気の戦争」となった。今のペンタゴンは、「ジャーナリストは兵士と行動を共にさせる」という方針をとり、兵士は「プロデューサーでもある」と自負して、戦闘シーンを撮影させているのだ。このようにして撮影された戦闘シーンがインターネットに流れ、デンマークの兵士が、タリバン兵を殺害し「冷静さが勝敗を分けた」と親指を立てて語ったシーンに平和に暮らしている本国の世論は激高した。今のアフガニスタンでの戦闘では「英雄になる将軍」はいないとされ、上官も下士官も同じ危険に身をさらしている。「攻撃されたら反撃するだけ」というポリシーのもとに、基本的に、この地域を豊かにすることが味方を増やす、と考えているのだ。その意思をその地域の住民に複雑な言語で翻訳して伝えているのだが、地域の住民は「タリバンについて語ったらのどを切られる」と考えているのだ。アメリカ兵は「アフガニスタンを豊かにするという方針を伝えるのは構わないが、現地住民と行動を共にしてはいけない」ということも学習している。武器や軍事技術ではアメリカは明らかに他を圧倒する技術をもっている。そのため、アフガニスタンにはもはや「テロリストの聖域」はないとされ、パキスタンでタリバンやアルカイダはアフガニスタンの戦争をコントロールしている。ベトナム戦争では8万人のベトコンがいたので、アメリカは一般市民まで殺したが、今は「攻撃されたら反撃する」という政策を明確にするだけの力をアメリカは持っている。しかし、アフガニスタンの地域住民を味方につけるだけの知識がないのだ。お金だけでは解決しない。その地を知り尽くしているタリバンには資金力だけでは勝てない。ゲーツ国防長官は「アフガニスタンほど困難な戦術を求められる地はなく、今後のアメリカのアジア・アフリカ・中東での米軍の展開を考えるうえでは、この教訓を知らない人間には戦術を立てることは不可能」とまで言わせている。
フォーリンアフェアーズ「その地をならす戦争」

「グローバリゼーションと失業」
グローバリゼーションは、市場が一つになることだが、輸送や通信のコストが安くなったことや、人間が作り出す「壁」が低くなったことなどが背景にある。輸入製品の価格が安くなることは輸出国と輸入国の双方に利益になる。しかし、経済発展はその国の構造まで変えてしまう。世界の人口の40%を占める中国とインドが世界の労働市場の構造を決めてしまうとも言われる。これらの国は、今後は何らかの付加価値を付けた製品を売ろうとしている。30年前までは先進国の特権だったものだ。インドと中国の労働市場や雇用形態の考察抜きには、日本の雇用を語ることはできないのだ。
フォーリンアフェアーズ「グローバリゼーションと失業」





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2011年8月23日 (火)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェストその6

「インドの腐敗問題」
インドのニューデリーで15日間にわたる市民集会が開かれている。猛暑の中で雨が降ったり、高い湿度の中で行われているのだ。背景には、政府の腐敗への批判がある。現在、インド議会は腐敗防止法案を審議しているが、一般の公務員を対象としたもので、これでは不十分であるという人々が集会に参加している。リーダーのハザレ氏は、先日まで政治犯として拘束されていたが、市民運動の高まりに圧される形で保釈を命じられた。しかし、ハザレはこの時、インド政府に市民集会への参加を認めさせている。ポリシーはガンジーの「非暴力不服従」だとされる。インドは民主主義国家であり、野党も存在する。野党とハザレ氏がどのように協力するかは不明だとされる。インドの近年の経済発展で、ビジネスにおける許認可権をめぐる汚職は確実に減っていたのだ。しかし、争点となったのが、インドの携帯電話会社が政府の特権を利用して同業他社を排除する価格設定をしたことや、1999年の印パ戦争の未亡人向けの高級住宅地を警察官に提供したりとか、あとは現場の警察官の間で横行している賄賂などがやり玉に挙げられた。もっと腐敗している国はあるだろうが、インド市民は、英国からの独立をした時に匹敵する第二の革命と呼んで運動しているのだ。問題は、腐敗防止法案の行方であり、これに政府が妥協するのかが争点となっている。また、この集会が必ずしも政権交代には結びつかない構図もあるとされる。現在の野党も政権をとっていた時期があり、必ずしも腐敗防止を積極的に掲げられる立場ではないのだ。
フォーリンアフェアーズ「インドの腐敗問題」

「デイヴィット・キャメロンとロンドンの暴動」
イギリスの暴動は5人の死者と、数百万ドルの損害をイギリスにもたらした。背景には、成立して一年半になるキャメロン政権の政策があるのは明らかだ。キャメロン政権は、自治を求める民衆に「大きな社会」という政策を打ち出して選挙に勝ったが、過半数には至らず、自由民主党との戦後初めての連立政権を組んだ。この「大きな社会」とは、隣人同士が助け合うことで、政府の予算の大幅削減を試みるものだった。キャメロンは警察官を1万6千人削減している。キャメロン政権はすぐには崩壊しないだろうが、数か月後にはかなり厳しい局面を迎えるとされている。自由民主党とは政策が異なる部分があり、個人主義に立脚する自由民主党も、昨年の地方選挙の成果が芳しくなかったことから、今すぐ下野することは考えにくい。暴動が起きた時に、警察は「個別の犯罪として検挙するのではなく、騒乱罪として扱う」と声明を出したことから、一気にロンドンは無法地帯と化した。キャメロンがロンドンに投入した警察官がまさに1万6千人だったのは皮肉だ。自由民主党は、暴動に参加してスーパーから飲料水を盗んだ学生を懲役刑に処したことなどを、「公正な司法ではない」と批判している。また、キャメロンは、貧困や福祉政策などが暴動の理由ではなく、各自のモラルの問題だ、と発言し、現状認識への批判の声が上がった。キャメロンは、地球温暖化の調査に北極を訪れるなど熱心な部分もあるのだが、内政問題に関しては、財源の制約もあり、予算削減という政策がこのような結果をもたらすことは、今後の日本にとっても貴重なデータとなるのは間違いない。隣人同士の助け合いというスローガンだけでは人間は動かないのだ。
フォーリンアフェアーズ「デイビッド・キャメロンとロンドンの暴動」

「9・11テロ回顧」
9・11テロがアメリカの外交政策のすべてを変えたと言われているが、10年経過して振り返ってみると、アメリカの覇権主義・単一性の志向・民主主義・自由市場の追求という文脈においては、単なる歴史の一ページに過ぎなかったのではないかとも言われるようになっている。では、9・11以前のアメリカの外交政策はいったいどのようなものだっただろうか。アメリカは「中国とロシア」を念頭に行動していた。そのうえで、中東政策をどのようにこの二つの国と絡めるのか、つまり、ミサイル防衛システムの構築が中東と密接に関わっていたのだ。さらには、イラン・イラク・リビア・北朝鮮などの「ならず者国家」との付き合い方も判断要素となっていた。バグダッドの「飛行禁止区域」で、米軍機が撃ち落されたらどう対応するのかなどを熱心に研究していたのだ。
国家安全保障委員会のリチャード・クラークはテロの危険性に警鐘を鳴らした人物だったし、CIA長官のジョージ・テネットも「事態は危険水域を超えた」と発言していたが、パウエル国務長官も、ラムズフェルド国防長官も、ライス補佐官も、さらにはブッシュ大統領もこのようなテロの危険性は認識していなかったのが真実だった。「オサマ・ビンラディンには誰も興味がなかった」のが真相だ。そういう意味では、たとえオバマもブッシュの外交方針の文脈に位置づけられるとしても、9・11テロの意味は動かしようがないと言える。
フォーリンアフェアーズ「9・11テロ回顧」

「避けることのできないスーパーパワー」
中国は超大国としてアメリカにとって代わるのだろうか? GDPや貿易収支、国家としての力量から考えれば答えはイエスだ。アメリカが考えている以上に、中国は巨大で、発展は速い。債権者は債務者に対しては独裁者のようにふるまう。債務を負った国家は今まではIMFを頼っていた。しかし、90年代のアジア通貨危機に対して、カンター通商代表は「脂ののったお肉」と呼んだ。なぜなら、アジア市場が一気にアメリカに開かれたからだ。1956年のスエズ危機では、イギリスがスエズ運河を制圧したが、アメリカが資金を大量にイギリスに流して撤退させた。このとき、イギリスは「我が国の覇権はこれで終わった。アメリカは200年後にこの屈辱を味わうだろう」と言った。アメリカは、自分たちはまだ発展すると考えており、中国をとりわけ傑出しているとは考えていない。また、中国は多くの問題を抱えすぎているとしている。いずれは、国際社会で役割を共有しなければならないだろうが、運転席まで奪われるとは誰も考えていないのが現状なのだ。
フォーリンアフェアーズ「避けることのできないスーパーパワー」

「カダフィ後のリビアの国家建設」
カダフィの没落が目の前に来ている。アメリカや同盟国は、リビアの国家建設にどのくらいの力が求められるだろうか。ボスニアやコソボ・イラク・アフガニスタンと比較してみよう。その際に、どのくらいの大きさをもった国なのか、どのくらいの富をもっているのか、どのような人種構成か、地政学的な分析、政治的な成熟などを視野に入れるのだ。国家建設というのは非常にエネルギーを集中させる作業だ。リビアはコソボやボスニアに比べれば2~3倍の大きな国であるが、イラクやアフガニスタンの三分の一程度だ。だいたい90年代のバルカン地方に注入したエネルギー程度であり、9・11テロ後の処理よりは時間や費用がかかる困難さだと言える。リビアは比較的豊かな国なのでこれらの国よりは経済の回復は速いだろう。また、言語もベルベル語を話すマイノリティーが1割ほどいて、西部や南部で自治を確立している。カダフィはこの国を「分割と支配」という手法で統治していたのだ。ボスニアやコソボ、アフガニスタンとの大きな違いは、国境で接する敵対的な国が存在しないということだ。これは大変有利に作用する。また、リビアはアラブ国家である以上、アラブの秩序にしたがった国家建設が求められる。西側諸国の軍事介入も空からの攻撃にとどまっており、ゲリラ戦などを展開しなくて済む。しかし、イタリアの戦前の支配から、立憲主義を経て、カダフィの独裁体制に入っており、政治的に成熟していないという点が問題だろう。東西に分かれてしまった軍事力・警察力を一つにする努力も必要だ。これらの事情を考えてみても、やはり民主主義を根付かせるには思ったよりは難しいことは覚悟する必要はある。
フォーリンアフェアーズ「カダフィ後のリビアの国家建設」

「アルカイダの窮地」
アラブの春は、独裁者が支配する国々に「イスラム国家」を樹立するチャンスを与えた。これはまさにアルカイダの悲願だったはずだ。かんがえてみれば、ソ連崩壊の時もこのチャンスはあった。しかし、アメリカがサダム・フセイン包囲網をアラブ諸国に敷いて、この地域に影響力を確立してしまったためその願いはかなわなかった。今回の、アラブの春ではイスラム国家の樹立がなされる可能性がある。しかし、事態はアルカイダの思惑とは異なる方向に向かった。政治参加をしたいイスラムのグループは、「爆弾より票を用いる」手法で国家を統治したいと考えているのだ。そうでなければアメリカの理解は得られない。たとえ、イスラム国家樹立という念願がかなったとしても、アメリカの影響力排除までは進まないのがこの地域の国家統治なのだ。
フォーリンアフェアーズ「アルカイダの窮地」

「イランはどうやってアサドの地位を守るか」
シリアのアサドが民衆の暴動に遭遇している。しかし、アサドの地位は、チュニジアやエジプト、リビアの指導者とは状況が異なるのだ。イランが、シリアを「アメリカとイスラエルからイランを守る最前線基地」と位置付けているからだ。そのために、イランは「イスラムを標榜し、民衆の支持があり、反米的運動ならあらゆる勢力を支持する」としながらも、シリアの民衆を「アメリカが、イラン・シリア・ヒズボラのラインを破壊しようとしている」として一切資金は流していない。それどころか、E-Mailや携帯電話などを監視するシステムをアサドに提供している。この「社会監視システム」の技術はイランが世界最高峰だとされ、中国よりも技術は上回っている。また、イランは、シリアの民衆に好意的な発言をしたヒズボラへの資金を止めたりもした。あらゆる手段を使って「アメリカとイスラエルからイランを守る最前線」を守ろうとしているのだ。もし、アサドが権力の地位を失い、シリアに新政権ができたら、イランはためらうことなく新政権とも良好な関係を築こうとするとされる。それほど重要な地域なのだ。
フォーリンアフェアーズ「イランはどうやってアサドの地位を守るのか」





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