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2012年1月21日 (土)

「信じる」~スタンフォード哲学百科事典

哲学で、「信じる」ということの意味が探求されている。「根拠がなければいけないのか」ということが問われる。これは道徳や誠実さと関わる。また、「信じる」ということがどれだけ我々に縛りをかけるのかもテーマになる。「何を体系的に信じているのか」「信じるということのメンテナンスはどうやるのか」「信じるのをやめるとはどういうことか」などが議論になる。この研究は「幽霊を信じる」などのオカルティストだけでなく、「もうあなたは信じられない」という人間関係にまでおよぶ議論だ。信じるということは自然発生的なものなのか、我々がコントロールしているのかなどもテーマになる。通常、人に意見を言う時には「信じていること」を言うだろう。そこにはどういう「根拠」が求められるのか。あるいは「根拠のない自信」のようなものが役に立つこともあるのではないか。
この議論をいかに極めていくかが研究の全貌だ。
航空会社は、飛行機が安全だと信じて運行させる。もし、技術的に不安な部分があって、事故を起こしたらもちろん罪だが、事故を起こさなくても罪だとされる。人間世界は間違いだらけであり、つまり、人間は信じながら生きていることそのものが罪を犯しているという大胆な指摘がなされた。19世紀のまさに「信じる」ということの問題提起だ。お互いに誤解をしながら生きている人間社会に投げ込んだ言葉だった。野球などでも、不十分な根拠であっても何を信じるかを選択しているのが人間ではないかとも言われる。知的なフィールドで何らかの選択をしながら生きていれば罪ではないという主張がなされたのだ。デカルトは、「信じる」ことのプロセスにおいては、知的な営みが強い意志よりも先行しているとしている。「幽霊を信じる」という人も、そういう意味では何らかの知的な営みを経た結果、その意志を強くしていることになる。古くはこのような合理主義が語られた。しかし、現在の哲学はこの思考をどのように深め、あるいは批判するか、という観点から複雑化している。これに対しては、「幽霊話」の「創作者」がいて、その世界に対する「信心深さ」があれば、それで成り立つではないか、とデカルトは批判されている。「信心深さ」には根拠はないだろうとされたのだ。ここで一度議論は止まっている。あとは「信じる」ということの機能が考察された。
「信じる」ということをどのように形成するかという認識論があり、さらに、道徳の見地からどう説明するかという議論があり、さらには、誠実さという見地から説明する議論がある。「認識論」「道徳」「誠実さ」の3つの規範が「信じる」というものへの分析に有効だ。たとえば、あるものを信じることは目的の到達に有効であるとして信じたとする。この時に、その人は「それが真実でなかった場合の危険」というテーマを論じなければならない。信じるということは、それが真実でなかった場合のリスクを常に問い続けなければならないのだ。たとえば、ある本で「このガンは治ります」という記述を読んだことのある人が、実際にその病気にかかったとする。その人は、「自分は生き残れるだろう」と信じる。その際に信じることへの誠実さが生じる。この事例は「信じることが真実をもたらす」いい事例である、とされる。「信じることが真実をもたらす」というのはパスカルも言っていたことであり、神を信じる現実世界のメリットとしてもこれは指摘していいだろう。かりに神を論じなくても、たとえば、あなたが娘さんといい関係を築こうと願っていたのなら、彼女のいい側面を見るようにした方がいいことがある。たとえば、彼女が薬物使用をしているという噂を聞いて、たまたま奇妙なにおいがしたとしても、アロマを炊いているのだろうと考えると関係は壊れない。かりに、薬物を使用している場面を目の当たりにしてしまったら、信じることが危険にさらされるが、それならば「たまに使用するだけならむしろストレス解消になるだろう」と考える。このような発想は、誠実さと功利主義の兼ね合いをとりながらいい方向に「信じる」ことを意味する。

【つづく】



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