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2011年11月 4日 (金)

「痛い?」あまったれるな!

サルトルの「壁」の要約。
スペイン市民戦争の最中、ファシスト政府軍の捕虜になり明朝には銃殺刑に処されるという極限状態に置かれた主人公パブロ・イビエタがこの小説の語り手になっている。彼の死刑宣告が発表された後、パブロは全身で多くの傷跡が痛む体験をする。彼の体はついにその痛みや傷痕そのものになってしまった。その痛みに占領された体はドロドロと溶けはじめ、何もかも彼から奪っていく。彼はすべての言葉や感覚を失ってしまった。そして、縄で死刑台に縛られている死刑囚となってしまったパブロ・イビエタは自らの体を「巨大な害獣」として見なし、彼自身がすっかり変化してしまったことの詳細、つまり、ある絶望した死刑囚が彼に与えられた境遇によって痛みが彼自身を包囲し、飲み込まれているという確信に至り、すべてが転倒し空っぽになったことを感じさせられる様子がこの小説の中で描写されている。
そこで、スカリーは次のように述べている。
「体が痛みそのものになった。・・・・その究極的な身体的体験では、まるで他のすべてが逆さまに吊られてその中身を空っぽにされたようになるので、周りの世界は軽くなる」と。
これは現代思想2011年8月号で稲原美苗が書いているものだ。

俺が味わった痛みは「たったこの程度」だったことを俺は現代思想に学習し、サルトルに学習した。つまり、俺は自由に学問ができる環境に自分があることに気がついたのだ。

現代思想2011年8月号 特集=痛むカラダ 当事者研究最前線Book現代思想2011年8月号 特集=痛むカラダ 当事者研究最前線

著者:熊谷 晋一郎,大澤 真幸,綾屋 紗月,信田 さよ子,宮地 尚子,小泉 義之,河本 英夫
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サルトルは20世紀でもっとも有名な哲学者だと言っていい。彼は「実存主義の父」と呼ばれ、1945年10月にパリの民衆に「実存主義はヒューマニズムである」というドクトリンを公表した。彼の本質は「カトリック批判」「共産主義批判」であり、さまざまな感情にさらされた。政治の世界にも進出したが「つばさ」という表現を政治に持ち込んだのはサルトルで、「右翼」「左翼」という言葉が当たり前になったこと自体、サルトルの奇蹟と言っていい。
サルトルは「存在と無」で、世界の始まりと自分の存在と世界の終わりという三つの発想しか世界にないとしたのだ。自分が生まれる前のことは知らないし、死んだ後のことも知らないのが人間だとしたのだ。これが実存主義であり、現象学を実存主義に組み入れる業績も残している。人類に歴史はあるだろうが、少なくとも「私」は世界の始まりは私の始まりであり、私が終われば世界が終ると考えているだろうという問いを人々に突き付けたのだ。
彼は「私の中にあるもの」と「私のためにあるもの」という区別をした。前者は固定的で、明確に特定可能で、おのずから定まり、しかも受け身のものだ。しかし、「私のためにあるもの」は非常に流動的で、特定が難しく、ダイナミックである。「真実」「経験」「与えられる」この三つのキーワードが「私の中にあるもの」と「私のためにあるもの」の間を行ったり来たりするのだ。
我々は「言葉」や「環境」などの与えられた「状況」のなかにいる。この「状況」は非常に受け身で「私の中にあるもの」に近いとされている。「私のためにあるもの」は外部にあり、人間は自由に奪いに行くことができるのだ。
サルトルは「私のためにあるもの」をかぎりなく「無」にすることが実存だとした。また「我々」という言葉も「心理学的経験」にすぎないとしたのだ。これが彼の哲学の本質であり、あとは、心理学、倫理学、政治学の話になる。

彼は「痛みを知らない人間は他者の痛みも分からないはずだ」という議論をしたことから、痛みの研究に引用されたようだ。

ピッチャーは「三振を奪いに行く」ためにスライダーを投げる。打者の敗北は「私のためにあるもの」であるが、「奪三振記録」は「私の中にあるもの」と昇華されていく。それが実存なのだ。

糖質注)皇族を見ろ。流動的な「私のためにあるもの」をめぐって争っている。そこに「真実」「経験」」「与えられる」というキーワードが関わっているのだ。これがまさに実存主義の哲学の「二元論」なのだ。

「サルトル」スタンフォード哲学百科事典。
http://plato.stanford.edu/entries/sartre/


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