国際条約の「ブーメラン効果」~ノルウェー対フランス
1885年から1909年にかけて、ノルウェーの政府と二つの銀行は、フランスその他の外国市場で数回にわたり公債を募集した。フランスはこれらの公債を「金約款を含んでいる」と主張したが、ノルウェーはこれを争っている。第一次大戦の勃発により、ノルウェー銀行券の兌換は停止され、その後、兌換と停止が繰り返されたが、1931年以降は回復することはなかった。フランスは1955年になって国際司法裁判所に訴えたが、ノルウェーは1946年に、フランスは1949年に裁判所規定の選択条項を受諾していたのだ。ところが、フランスの側が、この規定に対して、「本質上国内管轄に属する事項について留保する」としていたことにノルウェーは目を付けた。裁判所規定の選択条項に基づく場合、強制管轄権は両当事国の受諾宣言が一致する範囲で存在し、相互主義の見地からは、自国が留保を付していなくても、相手国の留保を援用できるとされたのだ。このことから、ノルウェーは、この紛争はノルウェーの国内裁判所で解決すべきであるとして、フランス側の「留保」を援用したのだ。このフランス側の自動的留保は「ブーメラン効果をもつもろ刃の剣」と言われているのだ。
国際法判例百選第93事件「強制的管轄受諾宣言と留保」
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