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Foreign Affairs

  • CFR: フォーリンアフェアーズ英語版

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2011年7月17日 (日)

フォーリンアフェアーズ英語版~ダイジェスト

「北朝鮮の戦術はもはや予測可能」
北朝鮮は、金日成の時代から、経済発展をした韓国と対等に戦うためには、国際社会しか頼るものがなかったが、国家そのものが、中国・ロシア・日本・韓国・アメリカが向き合う「中立地帯」に位置することを最大限に活用するという戦術をとり、それが大成功してきた歴史だったことが明らかになっている。基本的に「外部に敵を作り」「国内の反動分子を粛清する」方針を北朝鮮はとっており、オバマ政権は、北朝鮮の「確立した」外交戦術を見透かして「戦術的忍耐強さ」という政策をとったところ、これが見事に機能したのだ。歴史を振り返ってみると、北朝鮮は、公海上で拿捕したアメリカ艦船の兵士を殺害し、拷問して11か月後に釈放するなどして、常にアメリカを怒らせることを考えていたのだ。このことで北朝鮮は「得をする」ことを学習してきたのだ。アメリカがベトナム戦争で苦しんでいては、その隙を突き、イラク戦争で苦しんでいては同じことを繰り返す。それが孤立した国家にできることだったのだ。ブッシュ政権はこれに耐えかねて、経済制裁を緩和し、テロ支援国家の指定も解除してしまった。しかし、アメリカ側は着実に「データ」をとり続けていたのだ。アメリカがリーマンショックに陥った時も、核やミサイルでしきりにアメリカを怒らせようとした。また、北朝鮮の観光地を歩いていたアメリカ人すら殺してしまった。しかし、オバマ政権が「戦術的忍耐強さ」という政策をとり始めてから、北朝鮮の「王朝マネー」が一気に収縮し、北朝鮮での処刑の数も減ったのだ。北朝鮮が「人権」というものを考え始めた。今や、ゲームの主導権は北朝鮮にはなく、アメリカが握っていることが明らかになったのだ。金正日はすでに心臓麻痺を起こしたこともあり、もはや、その命運も「かつてのソ連」とまで言われている。
ゲームはデータがすべてだったのだろうか。
情報源:フォーリンアフェアーズ「平壌プレーブック」

「中国の膨張は戦争につながるのか?」
中国の膨張が21世紀の国際社会の最も重要なテーマになることは間違いない。しかし、これがどのような結果をもたらすのかは見解の相違がある。今まで、「膨張する」と言われた国は日本やEUも含めて、理想論に終わっており、中国もその一つの加わるに過ぎないとする見解もある。しかし、中国の膨張は、地政学・経済学・歴史学などの観点から盛んに議論されている。もし、米ソの冷戦のようになるのなら、地政学的には中国は非常に恵まれた位置にあるとされる。一方で、中国の今までの経緯を考えると、アメリカを中心とした秩序に組み込まれる形でむしろ周辺国にも繁栄をもたらすのではないかとも言われる。しかし、冷静に分析している人は、中国は東シナ海・南シナ海で非常に攻撃的であり、それを、アメリカとインドの連携で包囲している現状がある点を指摘する。いずれにせよ、中国の膨張がどのような形でエンディングを迎えるのかは、今のところ専門家でも見解が分かれているのである。
フォーリンアフェアーズ「中国の膨張は戦争につながるのか?」

「ロシア~石油次第ではレーニン主義が生きていた」
アメリカとロシアは昨年、外交面での「仕切り直し」を宣言した。ロシアは出生率が1・5から2・1へと上昇し、中央アジアからの移民も多く、ウラル山脈の向うや極東ロシアも安定的に保持し続けるだろう。また、中国とも頻繁に交易をおこない、原油価格も1972年の1バレル=2ドルから、2010年の1バレル=150ドルになったことが経済の追い風になっている。しかし、もしソビエトが崩壊していなければ、この原油価格の値上がりはソビエトへの追い風になっていたはずであり、ゴルバチョフやエリツィンがいなくても、アンドロポフが国家に君臨していたことになる。この国がどんな体質をもっていようが、原油次第で国力が決まり、今後20年後の国家像が非常に見えにくい国であるとされる。
フォーリンアフェアーズ「モスクワの近代化のジレンマ」

「イスラエル~パレスチナ問題の難しさ」
オバマ政権はパレスチナ問題の解決を主要テーマにしてきたが、問題点が明らかになってきている。「東エルサレムやヨルダン川西岸地域をイスラエルがどうしても譲れない」という点に核心があるのだ。この地域を得るために今までどんな努力をしてきたのかという思いが強いのだ。これはシオニズムとも深いかかわりをもっている。また、イスラエル軍の今まで行ってきた破壊的行為が問題の解決を困難にしている。パレスチナの財産を破壊するだけでなく、略奪行為などを公然と行ってきたのだ。パレスチナとしても納得のいくものではなくなっている。かりに「パレスチナ国家」をこれらの地域に作ったとしても、いつ、イスラエルが侵略をするかもわからず、なかなか簡単には解決できない問題となっているのだ。イスラエル側も、テロで数千人の命を失っている紛争であり、そもそも新国家独立を容認できないという点が「東エルサレムへの思い」にあり、さらに、独立してもいつ侵略があるか分からないという問題があるのだ。
シオニズムと東エルサレムの関係というのは理解しておいていいだろう。
フォーリンアフェアーズ「問題の解決にまとわりつくもの」

「レバノンの裁判とシリアの反撃」
2005年にレバノンのラフィク・ハリリ首相が爆弾により暗殺された。ハリリは「シリアのレバノンへの影響力を排除する」という政策をとっていたことから、当初から、ヒズボラとそれを支援するシリアが暗殺に関わっていることが疑われた。国連は国連憲章第7章の規定にしたがって特別法廷を設置し、真相の解明を行おうとした。ところが、法廷に関与する人々が次々に暗殺されていったのだ。法廷側は「ハリリ首相の葬儀はレバノンに一切関与させない」と発言し、シリアを追い詰めて行った。法廷に関与して殺された人も「ハリリ首相暗殺にともなう一連の犯行」とみなして法廷で裁くことを決定した。7か国が、ハリリ首相暗殺の背景を調査し、首謀者を特定しようと試みている。しかし、首相レベルの暗殺にはかなり高度なレベルの政治意志が関与していることは明らかであり、そのために法廷側も多くの命を失ったのだ。レバノンでは半数以上の人間が法廷側に非協力的であるとされ、だからと言って「劣ったレバノン国民」と呼ぶわけにはいかない。そのような困難を抱えながらも「首謀者の特定」こそが、レバノンという国家をいい方向に導くためのカギを握っているのだ。
フォーリンアフェアーズ「レバノン~裁判の日」

「トルコの成熟した外交政策」
トルコのエルドガン首相が7月に3選を果たし、声明を出した。「この勝利はトルコだけのものではなく、ベイルートの勝利であり、ダマスカスの勝利であり、サラエボの勝利であり、ラマラやナブルス、ジェニン、ヨルダン川西岸の勝利である」とした。これは、トルコの外交政策が中東の様々な地域に安定をもたらしている事実への自信を表明したものだ。トルコは非常に民主的で、住民の自治組織も進んでいる。アメリカすら「トルコの民主的な体制がなければ、もはや我々は中東では力が維持できない」とすら言っているのだ。今年の「アラブの春」において、トルコの外交政策は卓越していた。チュニジアにおいても、エジプトにおいても、アメリカが自国の利益だけを考えてダブルスタンダードがひんしゅくを買ったのに対して、トルコは「民主化」の側につくのが容易な体制をすでに構築していたのだ。そのため、各国の信頼を集めた。しかし、リビアにおいては、すでに莫大な投資をトルコが行っていたため、なかなかカダフィを批判しきれなかったとされる。しかし、リビア在住のトルコ人の引き上げが完了したら、たちまちリビアの民主化を支持している。トルコの外交政策は「問題のない中東」という政策だ。トルコには「クルド人の問題」というのが存在し、これは野党勢力でもあり、テロの温床でもある。シリアがクルド人を支援しているのだ。しかし、シリアでも民主化運動が起き、これをトルコが支援した。イスラエルの問題においてはパレスチナを支持しているとされる。中東では、世俗の権威主義と、イスラムの権威主義が争っているが、トルコのような民主的体制を目指すと公言する指導者もいて、現在のトルコは「かつてのオスマン帝国」とまで言われている。トルコは「問題のない中東」において通商を促進し、民主化の進んだ制度を基盤に外交力を高めることを政策としているのだ。現在の中東においては最も注目すべき国家であり、エルドガン首相は「この半世紀で最も人気のある首相」とまで言われている。
フォーリンアフェアーズ「トルコの成熟した外交政策」

「食品価格は変動幅の大きさが問題なのではない」
食料品の価格が現在、史上最高値を記録している。背景にはアジア圏での経済発展による需要の増加や、アメリカでのバイオ燃料の需要増加に加えて、オーストラリア・ロシア・南アメリカでの農作物の不作があるとされる。世界銀行のゼーリックや、フランスのサルコジなどは「価格の変動幅(ボラティリティー)が問題である」と指摘するが、これは的外れと言っていい。食料品価格の高騰は、貧しい人々を直撃するが、農家はむしろ豊かになる。しかし、変動幅が大きくなると、穀物メジャーが投資した分の回収が困難になるとされ、変動幅は貧困層にはあまり関係ない。変動幅が大きいだけならば、消費者は、別のメニューを選択すればいいだけであり、他の食品の高騰を眺めているだけでいい。ゼーリックもサルコジも「変動幅」には注目するが、「価格の高さ」には注目していないという点で完全な過ちを犯している。変動幅に注目すると、国家の政策も「農家への補助金・価格安定策・輸入禁止」などの誤った政策を誘発するとされる。今は、「価格の高さ」に注目して、世界で貧困層が4千4百万人増えたことに注目すべきであるとされる。「変動幅」が大きかった時代は過去に何度もあり、1970年代はもっとひどかった。「変動幅の大きさ」と「価格の高さ」は全く異なる概念なのである。
フォーリンアフェアーズ「食料品の変動幅がなぜ問題ではないのか」

「オバマは大局的な戦術をもっているか」
現在の不確実な時代には、オバマに何らかの「ドクトリン」を出すように求める声がある。そのほうがいろんな国々がそれに応じて行動できるというメリットがある。実際に、アメリカはそれがなかったために中東から明らかに後退している。シリアへの介入の際に「ドクトリン」が強く要請された。しかし、そんなに「ドクトリン」が必要であろうか。ブッシュ政権は「ネオコン」の連中が強烈なドクトリンをもっていたが、アメリカにはマイナスにしかならなかった。大事なのは、言葉に出すのではなく、心の中で「大局的な戦術」を考えておくことであり、それをさまざまなシグナルとして対外的に発信することだと思われる。心の中で考えておいてくれるだけで、アメリカ人は国内の人も国外の人も行動が容易になるのだ。
フォーリンアフェアーズ「オバマは大局的な戦術をもっているのか?」

「NATO~リビアで分かったこと」
NATOは金融危機以降、予算の削減を受けざるを得なかった。アフガニスタン戦争が「おそらく域外では最後の戦争」と言われていたが、リビアでの展開は全く予想外だった。しかし、予算の削減にもかかわらず、十分な力を保持していることを証明している。これはヨーロッパに非常に安定感をもたらした。また、爆撃機・戦闘機・艦船のみならず、偵察機や補給機の重要性が明らかになった。偵察機や補給機でどれだけ救われたかを実感したのだ。リビアへの軍事展開において、途中でカダフィが戦術を変えたため、NATOも「精密なピンポイント爆撃」に戦術を切り替えるのに成功している。今後のNATOは、地球規模でいろんなことが予測不能であることや、今後もさらに予算の削減を受けるであろうことも踏まえて、それでも現在の力量を保持し続けることができるかが問われている。
フォーリンアフェアーズ「リビア後のNATO」

「スーダンの現状」
今年の一月に、南スーダンで選挙が行われ、95%の投票率を記録した。2005年に停戦合意が行われてから、ようやく南スーダンは独立の方向へ動き出した。しかし、スーダンのアル・バシール大統領は非常に困難な立場に追い込まれた。今までは武器の調達もリビアのカダフィの支援で行えたが、今はチュニジア・エジプト・イエメンなどの周辺を世俗の政権をもつ国家に囲まれていて、イスラムを標榜するアル・バシールとは良好な関係にはない。何年か経てばこれらの周辺国もイスラム色を強めるだろうとされているが、時間が残っているかは分からないのだ。南スーダンは、スーダンの石油の80%を握っており、もし南が独立したら、北が崩壊するのではないかとも言われている。アル・バシール政権では腐敗が行われていたり、最近では軍幹部の粛清も行われた。南スーダンが独立しても決して地域は安定しないのではないかとされている。
フォーリンアフェアーズ「スーダンの斜陽」

「ペルーは左翼化するのか」
ペルーでウマラ氏が大統領選挙に勝ったことから、アメリカが神経をとがらせている。かつては毛沢東主義をとったこの国も、その後は、アメリカとの協調関係を維持して、豊富な鉱物資源を背景に、経済力を高め、経済成長率は6%と、南米では最も高い数字を維持している。貧困層も5割から3割まで減った。当然、この状況が大統領選挙でも維持されるものと思われたが、親米派がことごとく選挙の得票を得られなかった。人々は、経済成長は歓迎しつつも、腐敗や犯罪、大気汚染などの問題を重視しており、その改善を求めていたのだ。最後に残った候補者は、アルベルト・フジモリの娘であるケイコ・フジモリとウマラ氏だった。しかし、フジモリ元大統領も、インフラ整備などで国家に貢献したものの、権威主義や腐敗などが批判されていたのだ。ケイコは父親の人脈とのつながりが強すぎるとされて、一挙に攻勢に出たのがウマラ氏だった。ウマラ氏は、ブラジルのルラ大統領をモデルにすると公言し、赤いポロシャツに笑顔の宣伝ポスターをばらまいた。最後には3ポイント差で大統領選挙を勝ったのだ。このことが、南米に与える影響は大きいのだ。ペルーは、アメリカの次に中国との経済のつながりをもっており、ウマラ氏が大統領になってから最初に訪問した国はブラジルだった。中国は南米の各国とも結びつきは強く、中国の存在感がペルーの行方次第では高まることになる。このことから、アメリカはチャベス大統領とウマラ氏のつながりを分析したりして、ペルーが左翼化の道を進むのかを注視している。ウマラ氏はオバマ大統領とも良好な関係を築くとはしているが、汚職や犯罪、環境汚染などの問題も含めて、どこまで中国が南米に食い込むかは分からないのだ。
フォーリンアフェアーズ「ペルーは左翼化するのか?」

「今、ドイツが強い」
ドイツが、製造業が好調で、中国に次ぐ世界で二番目の輸出国になった。東ドイツの統合後、ようやくドイツの経済が活況を呈し始めたのだ。アメリカが2007年から2011年の間に失業率が4・6%から9・0%になったのに対し、ドイツは8・5%から7・1%へと減っている。失業者も300万人を割ったのだ。輸出産業のドイツ経済に占める割合は三分の二にもおよび、今、ヨーロッパでもっとも経済力を充実させている国だと言える。
フォーリンアフェアーズ「ドイツの成功の秘密」





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