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2011年3月16日 (水)

自然災害と「心」の問題

自然災害体験者のうち、PTSD(外傷後ストレス障害)に罹患する人は男性では3.7%、女性では5.4%とされる。PTSD以外にも、うつ病やパニック障害、社会恐怖、アルコール・薬物関連障害などの精神疾患の有病率も数値は明らかではないが高くなるとされる。PTSDの治療で有効だとされているのは二つある。
(1)選択的セロトニン再取り込阻害薬(SSRIs)による薬物療法。
(2)トラウマ体験への暴露を含む認知行動療法。
であるが、現在の日本の精神医療ではどちらも使いにくいとされる。SSRIsは、現在日本では、うつ病、抑うつ病、強迫性障害、パニック障害などでは保険適応されているが、PTSDの疾患名での保険適応はなされていない。日本でのPTSDの有効性を示すエビデンスが十分に報告されていないからだ。PTSDは合併疾患の多い疾患であり、約80%が何らかの精神疾患と合併する。そのため、うつ病の薬として処方されたりするのだ。精神医療の現場では、70%の医師が「PTSDでの保険適応が必要」と答えている。退役軍人のような集団を持たない日本ではこのような現状があるのだ。認知行動療法は1回90分から120分を必要とし、10回から12回のプログラムを行う。そのため多忙な精神医療の現場ではコストに見合わないのだ。「通院精神医療法」に該当し診療報酬点数は1回330点から360点だ。いい加減な療法を適当に20分やってもこの診療報酬は請求できてしまう。現場でしっかりと120分の認知行動療法を行おうと積極的になる医療機関はないのだ。また、臨床心理士が行った場合は全額自己負担で1回1万円にもなる。診療報酬の改定も必要となるのだ。
ジュリスト2008年3月1日号「犯罪被害者への精神医療に関する検討会報告の役割と課題」中島聡美

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