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2011年1月10日 (月)

銀行口座の法律学

授業料などの納付金の支払いについて、学生の指定する銀行口座から自動的に引き落とす方法をとる大学が多くなっている。また、家庭からの仕送りやアルバイトの報酬の支払いについて銀行振り込みが利用されることも少なくない。法学部の学生にとっても身近なこれらの方法は、銀行に普通預金(あるいは当座預金)の口座を持つことから始まる。銀行預金の法律構成に関して通説・判例は預金契約は金銭の消費寄託契約であると解している。
預金するということは、銀行と預金者の間に契約が成立することであるが、預金契約の具体的内容は、銀行が預金ごとにあらかじめ定型的・画一的に定めている。当事者間の個別の交渉によって定められるものではないのである。このような契約は普通契約約款と呼ばれるが、預金契約の種類ごとに全国銀行協会(全銀協)が「ひな形」を定めている。各銀行はこれらのひな型に微修正を加えながら、当座勘定規定、普通預金規定、総合口座取引規定などを定めているのだ。
寄託契約は要物契約である。つまり、金銭の出損という要物性のともなう契約だ。通常は預金者が窓口に現金を持参することで要物性は満たされるが、ATMに関しては「銀行はATMを設置し、それによる入金を認めている以上、ATMによる入金があったときは預金契約を締結する意思をあらかじめ示している」と構成されているようだ。
手形・小切手を銀行に持ち込んで口座で現金化することの法律構成も議論されている。これらの証券が現金化される以前に口座に入金を認めるのであるが、手形・小切手を銀行に持ち込んだ預金者へ銀行が金銭を譲渡していると解釈する譲渡説もあるが、実際にこれらの口座への入金は「銀行への取立て委任」をしていると解釈する取立て委任説が通説だ。これらの議論は手形・小切手が不渡りになるケースがあることから議論されている。譲渡説では、手形・小切手が不渡りになった場合には銀行に持ち込んだ預金者も担保責任を負うことになるが、取立て委任説では、預金者が銀行に持ち込んで現金化する行為は「貸付」であると解釈されるなどの違いがある。しかし、どのように法律構成するかは基本的には取引当事者の意思と取引界の慣行にゆだねられることになるだろう。判例は「手形・小切手の取立てを完了してからでないと銀行はこれらの有価証券を現金化できない」と解釈しており、それ以前の現金化は「貸付」であると解釈しているのだ。これは取立て委任説に立つものであり、銀行業界の慣行となっているといっていい。
誰が銀行預金者であるかという議論がある。かつては本人確認が必ずしも行われていない実務があったため、税金対策のために妻や子供の名義で口座を作ることが広く行われていた。現在は「お金を出損した人」が預金者であるという客観説がとられている。
普通預金というのはすでに広く知られていると思う。しかし、銀行には「総合口座取引」というものがある。総合口座取引というのは、普通預金を定期預金、国債等の保護預かりと合わせて利用するとともに、定期預金および国債を担保とする当座貸し越しを利用するものである。たとえば、普通預金の残高が不足する場合であっても200万円を限度として定期預金の合計額の90%まで自動的に融資がなされるような取り引きである。電気、水道、ガス等の公共料金やクレジットカード代金の決済に自動引き落としを利用するような場合には、総合口座であれば普通預金残高を気にしなくてもよいというメリットがある。このようなメリットから多くの家庭で利用されているのが総合口座なのだ。
法学教室1997年6月号「民法実戦ゼミナール~銀行口座を作る」野村豊弘


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