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2010年11月 1日 (月)

ゴルゴ13「種子探索人」と生物多様性条約

リードコミック101巻の「種子探索人」という作品がある。サブタイトルが「プラントハンター」だったと思う。
中国の山奥に新種の植物を探索に行く人々が、次々に「黒い悪魔」に襲われて死亡するのだ。この「黒い悪魔」の退治にゴルゴが乗り出す。実は、ガイドが途中で休憩と称して幻覚剤を探索人に飲ませ、カラスを呼ぶ笛をぐるぐると回すと、カラスがたくさん集まってきて、幻覚剤を飲んだ探索人は「黒い悪魔」に襲われたと言って命を落としていたのだ。
この作品は、生物多様性条約と深く関わっている。生物多様性条約の目的は、①生物の多様性の保全、②持続可能な利用、③利益の公正な分配が挙げられる。
たとえば、途上国ほど生物は多様であるが、中には珍しい薬草を先進国が特許をとり利益を独占するケースがある。この場合の途上国の不満は、貧困がともなう場合はうまく納得させることができない。そのための利益の公正かつ衡平な分配が求められるのだ。
かつては国連食糧農業機関(FAO)の「植物遺伝資源に関する国際的申し合わせ」(1983年)というのがあったが、途上国の不満は大きく、生物多様性条約は15条で、各国の天然資源への主権的権利を認め、遺伝資源へのアクセスについて定める権限が各国政府に属することとした。「中国の山奥の秘薬」は中国政府に権利があるとされたのだ。
WTOの知的財産はTRIPsが規律しているが、先進国が持っている知的財産権と生物多様性条約は「関係ない」という見解もあったが、何らかの調整が求められることにはもはや異論はない。遺伝子資源の原産国・出所をしっかり表示したり、そこからどのような発明を行ったのかを明らかにすべきではないか、あるいは、特許に事前同意が必要か、利益配分についての話し合いを行うべきではないのか、などが問題となった。WTOドーハ開発アジェンダで問題になったのだ。薬草の効能などはその地域では広く知られていることもあり、その地域の風習を、世界レベルの知的財産コミュニティーが吸収してしまっていいのかも問題になる。知的財産法もひとつの「文化」に過ぎないと考えて、先住民族を尊重するという点では大方の合意が得られている。
なお、あえて種子を例に挙げたが、先住民族は、人的遺伝的資源・種子・薬品・動植物の特質・口頭伝承・文学・意匠・スポーツおよび伝統的試合・芸術・芸能などへの権利をもつとされている。
参考:ジュリスト2010年10月15日号「生物多様性条約と知的財産制度」鈴木将文
注)なお、ゴルゴ13では中国が事例として出されたが、メガ多様性同士国家グループというのがあり、ブラジル、中国、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、インド、インドネシア、ケニア、メキシコ、ペルー、南アフリカ、ベネズエラ、マレーシア、ボリビア、フィリピンの15か国で構成されている。これらの国が2002年に「カンクン宣言」を出し、生物多様性から生じる利益の適正な分配を国際社会に求める宣言を出している。

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