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Foreign Affairs

  • CFR: フォーリンアフェアーズ英語版

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2010年6月

2010年6月29日 (火)

放送番組製作取引

映像コンテンツの9割以上(売上高比)をテレビ番組が占めている。Youtubeでもそうだとされる。近年、これらのコンテンツが、他地域での放送、海外への販売、ビデオ化、キャラクター化などの二次利用の活用が期待されている。こうしたコンテンツの活発な二次利用のための環境整備が望ましいとされているのだ。しかし、地上テレビジョン放送事業者は、放送番組製作に関しては「生番組オンリー」の頃からの取引慣行をいまだに引きずっているとされ、製作会社と契約書すら交わさないことがある。もともと、製作会社は、放送事業者の枠内を飛び出して、より自由な製作を志したという経緯がある。しかし他面では、放送事業者がより低廉な製作費のために製作会社に委託するという事情があることも否めない。
放送事業者は、優越的地位を利用して、著作権を自らのものとして設定したり、不当な買い叩き、不当なやり直しを命じたり、あるいは製作協力金の要請を製作会社に対して行ったりする。このことが、クリエーターのインセンティブ向上、良質なコンテンツ製作、効率的な利用を阻害しないようにしなければならない。番組製作会社の事業者団体である社団法人全日本テレビ番組製作者連盟(ATP)が1997年ごろから、番組製作取引の適正化を主張し始めた。2004年に総務省も「放送番組の製作委託に関する契約見本」を取りまとめた。NHKや、日本民間放送連盟はそれぞれ自主基準や指針を出した。ジュリストでは東京キー局による地上波テレビ番組製作に関する論文がある。
音楽出版社には、放送事業者の子会社である放送局系音楽出版社(局系)と、当該番組のために新しく楽曲の製作委託を受けようとする独立系音楽出版社(独立系)がある。局系と独立系の関係であるが、放送事業者は局系に委ねることが多いことは事実であるが、事業規模においては局系も独立系もさほど違いはないとされる。わが国では、楽曲を全国にあまねく知らせる上で、地上波テレビほど強力な媒体はない。地上波テレビで楽曲が放送されることはセールスに大きな影響を与える。局系と独立系は、ともに「タイアップ」と呼ばれる取引形態をとり、当該楽曲をCM、映画、TV番組の主題歌、挿入歌にすることによって楽曲のプロモートを相乗的に行うことがある。また、局系の親会社は、当該楽曲を自局のみならず、ローカルテレビ、FMラジオ、CS放送などで強力にプロモーションを行うので、これらのプロモーション料との相殺という形で楽曲の著作権を求めることもあり、独占禁止法の問題となる。このことに関しては、ルールを明確にすると同時に、当事者が協議を行う必要がある。
ジュリスト2010年7月1日号「放送番組製作取引の適正化~独占禁止法・下請法との関連で」舟田正之

2010年6月27日 (日)

民主党が廃止した「事務次官会議」の役割

閣議で取上げる議題の中身に誤りがないか「確認」すること。閣議に上がる法案は大臣に上げ、事前に関係省庁で十分に中身を詰め、内閣法制局で法案の形に審査して、閣議前日の次官会議で憲法や他の法律との関係、政府内や与党との調整について最終確認をする。
「指示・伝達」。各次官が一堂に会した次官会議では、総理、官房長官の意向や方針を伝えていた。個々に伝達すると誤まって伝わったり、解釈に違いができて政府の方針が統一されないからだ。
「横の連携」。次官会議が終わると局長や審議官を集めた幹部会議を開いて次官会議の議題を説明した。自分の省がなにを発言したかはもちろんのこと、他省庁から出た議題や官邸から伺った話を伝え、政府全体の重要案件を省で共有する。
次官会議では自分の省益ばかり優先した発言をすれば全員にそっぽを向かれる。非常に重要な機能を果たしていた。
文藝春秋2007年7月号「官僚を使わずして国成り立たず」


2010年6月23日 (水)

少子高齢化対策の基本的な方向性

この問題を解決するためには「就労」と「結婚・出産・子育て」の「二者択一構造」を解消することだとされている。大きな枠組では仕事と生活の調和、保育サービスなどの「次世代育成支援」の構築の二つを車の両輪とする。仕事と子育ての両立が難しかった理由としては「体力がもたなそうだった」が最も多く、育児休業からの復帰が大きな課題だ。復帰後の女性労働者のニーズは「短時間労働」「所定外労働の免除」が高い。昨年6月施行の改正法では、3歳までの子供を持つ女性にこれらに配慮することにしている。また、一般的に子供の数が多いほど、子供のケガや病気による休暇のニーズが高まる。これにも子供の数に応じた対応することにした。統計を取ってみると、男性労働者でも3割が育児休暇を取りたいと考えていることが分かり、パパママ育休プラス、という政策を採用した。高齢化に関しても統計がある。家族の介護・看護のために離転職している労働者が平成14年からの5年間で50万人存在しており、そうでなくても年休・欠勤で対応している労働者も多い。このことから、短期の介護休暇制度が創設された。育児にせよ介護にせよ、一人につき5日あるいは10日程度となっているようだ。
ジュリスト2010年3月1日号「仕事と家庭の両立を目指して」

2010年6月22日 (火)

パナソニックの経営戦略

パナソニックは、ライバル企業であるソニーやサムスンに比べて、国内マーケット重視のイメージがあるが、現在、2012年までの中期経営計画で「トランスフォーメーション」を計画している。BRICs+V(ブラジル、ロシア、インド、中国、ベトナム)という言葉は知られているが、パナソニックでは独自の用語で、MINTS+B(メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコ、サウジアラビア、バルカン諸国)も含めて構想を練っている。新興国市場では、パナソニックは、サムスンやLGに後れを取っている。世界の家電業界を席巻するサムスンであるが、よく見てみると独自技術はあまりなく、研究開発よりも、生産設備への投資や、広告宣伝費におカネを使っている。新製品の開発は日本に任せ、それをキャッチアップしていけばいいと割り切っている。パナソニックの成功事例を見てみると、電力の供給が不安定なインドネシアで省エネ冷蔵庫が売れたり、水が貴重な中国で節水機能がついている洗濯機が売れたりしている。その地域のライフスタイルや特性を理解して商品開発をするのが有効だ。そのために生活研究を行う施設も立ち上げた。やはり日本企業の国際競争力に、高い法人税は足かせになっている。また、円がドルに対してだけでなく、ユーロに対しても高くなってしまったのも業績悪化につながる。雇用の問題も難しい。パナソニックとしては、プラズマパネル、液晶パネル、次世代電池、半導体、デジタルカメラの非球面レンズなどの先端技術の詰まったキーデバイスに関しては日本を生産拠点にするものの、海外の生産ラインと開発部門の切磋琢磨により臨機応変に商品開発を行っていく環境ができるのが好ましい。
文藝春秋2010年7月号「わが『打倒サムスン』の秘策」大坪文雄(パナソニック社長)

2010年6月21日 (月)

AID・人工授精の一つの方法

かつて、向井亜紀のスレで「AIDとは技術的にどうやるのか?」ときいたら、反応がなく、なんだか突拍子もない質問をしたのかと思ってしまったが、実情は誰も知らなかっただけのようだ。文藝春秋2010年6月号に詳細が載っていた。
「細い管を使って精子を子宮に注入するもので、体外受精に比べれば自然の受精により近い治療法だ。個人差はあるものの、私の経験からいえば、子宮注入の痛みは許容範囲で、診察台に乗ってものの数分で終了するため女性の身体的負担は少ない。男性の側は、3、4日禁欲をして精子の採取に臨む。本人がクリニックを訪れ、院内にある採精室で採ることも出来るし、クリニックから渡された容器に自宅で採取をして自分で持参してもいい。精子はフレッシュなものを使う場合もあるが、凍結したものを使用することも少なくない。採卵当日に精子を採取できるとは限らないためだ。事前にとった精子は何回分かに分けて凍結しておき、いざ受精する時に凍結したものを解凍して使用する」
「不妊治療のタブー」須藤みか
このAIDは、法律文献では「戦後間もなく行われていた」とされている。

パチスロと「体感機」

そもそも、パチンコと窃盗罪に関する二つの重要判例の理解が必要だ。パチンコの機械の内部に糸をつけて出球を操作した事例、磁石を利用して球を当たりに誘導した事例、の二つで窃盗罪が成立している。さらに、パチスロでは、メダルの投入口にセルロイド様器具を指し込み、感知装置の誤作動を引き起こして、メダルを取得した事例が出た。この「体感機」は、パチスロに内蔵された当たりを出させる電子回路の乱数周期と同期させる機能を有する機器を利用するものである。まず、「ソレノイド」という、自動的にスタートレバーを押す仕組みを用いた場合は窃盗罪だ。ソレノイドを用いるのはパチンコで磁石を用いる行為と変わらないと思われる。体感機は、ソレノイドではなく、人がレバーを押す仕組みだが、体感機とパチスロの間に、意思と能力を持った人が介在する点で異なるが、これも窃盗罪とされたのだ。しかし、これには批判的な学説もある。音楽やメトロノームをヘッドホンで聴くのと大差ないというのだ。店舗によってはヘッドホンでメトロノームを聞く行為を禁止している店もあるし、パチプロを禁止している店舗もある。パチプロを窃盗罪に問うわけにはいかないだろう。パチンコ店という非日常的空間で、日常生活に用いられるヘッドホンをつかうことは問題ないという説が根強い。また、機械の情報を最初のゲームで読み取り(ジャックゲーム)、大当たりを出す情報を読んで、機械を調整し、大当たりを出す仕組みもあるようだ。
ジュリスト2010年6月15日号「刑事判例研究」林幹人

2010年6月20日 (日)

避妊錠剤「エラ」

アメリカの食品衛生局(FDA)が、フランスが開発した「エラ」という薬を承認するかどうかの判断がせまられている。エラは、性行為の翌朝に女性が服用すると避妊の効果があり、その効果は5日間持続するのだ。この薬品はすでに22カ国で承認されている。しかし、化学成分が中絶薬である「RU-486」と似ていることから、中絶とどのように異なるのかの説明が求められている。RU-486は、胎児を子宮から分離させるものであるのに対し、エラは「受精の防止」である、としているようだ。また、RU-486の服用により、不妊になったりすることが報告されているが、エラの安全性を製薬会社は主張している。
ワシントンポスト6月17日付

2010年6月17日 (木)

所得控除と税額控除

税金に「控除」というのがあり、これをやると税金が安くなるというぐらいの感覚だが、実際は所得控除と税額控除の二つがある。所得控除とは、税率適用前の課税標準である所得から控除するもので、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、医療費控除などがある。累進税率を取るわが国では所得から控除することが多い。
一方、税率適用後の税額から控除したほうがいい場合がある(税額控除)。外国に納税したお金を税額控除するのは合理的だ。また、ふるさと納税などは住民税の税額控除だ。また、住宅ローン控除も税額控除だ。所得控除と税額控除のどちらに当てはまるかは政策的な議論だ。「公平」の観点からシャウプ勧告以来の議論があるようだ。なお、消費税導入を議論するに際し、低所得者向けに給付付き税額控除を導入すべきだという議論がある。通常は課税すべき所得が控除によりゼロになれば、課税はされないが、さらにすすんで、控除しきれない部分を還付しようという政策だ。所得税と社会保障とを一体化させて考えるものだといえる。
ジュリスト2010年6月15日号「KEY WORD」(租税法)佐藤英明

2010年6月12日 (土)

天安(チョンアン)撃沈の背景~文藝春秋

朝鮮半島西部、北朝鮮の沿岸からわずか十キロほどの黄海上に浮かぶ島(ペンニョンド)がある。1953年7月、朝鮮戦争が休戦を迎えると、国連軍司令官はこの島のすぐ北に東西に走るNLL(北方限界線)と呼ばれる軍事境界線を引いた。当時、北朝鮮には海軍力はなく、沿岸すれすれまで国連軍に押し込められていた。島には有刺鉄線が張り巡らされ、韓国軍海兵隊の第六旅団が駐屯している。空軍のレーダー基地も置かれ、北朝鮮から飛来する航空機をいち早くキャッチする戦略的な要衝だ。第六旅団の役割は、有事に北朝鮮軍の侵攻を全滅覚悟で食い止めることだ。目の前にそんな軍事基地があることを北朝鮮が面白く思うはずがない。99年6月、この海域に南下した北朝鮮軍艦艇が韓国軍と銃撃戦を繰り広げ、9月にはNLLの無効を唱え、独自の境界線を宣言した。2002年6月に続き、09年11月10日には三度目の銃撃戦を起こしている。さて、今回の「哨戒艦・天安(チョンアン)」の撃沈は3月26日だったが、それには背景がある。昨年11月10日に、北朝鮮海軍の警備艇がNLLを超えて南侵、韓国軍艦艇と銃撃戦になり、北朝鮮警備艇は大破、自力航行ができなくなるほどの痛手を受け、死傷者も多数に上った。この「敗戦」は北朝鮮にとって到底容認できるものではなかった。軍のクーデターを恐れ、自らが軍のトップに座にある総書記にとっては軍の意向は無視できない。後継者であるジョンウン氏も軍の要職にある。今回の、北朝鮮の潜水艦は、韓国哨戒艦のソナーの技術も把握しており、無線も傍受されないように切って、ディーゼルエンジンを止めて、ひたすら沈黙して標的を待ち続けたのだ。天安の接近を知り、潜水艦の艦長は音響感応型重魚雷「CHT-02D」の発射を命じた。長さ7.3メートル、弾頭火薬250キロの魚雷だ。これが天安撃沈のあらすじだ。
文藝春秋2010年7月号「世界が震えた第二次朝鮮戦争勃発」小武定彦

2010年6月11日 (金)

「ドル」と「人民元」の問題~文藝春秋より





 文藝春秋 2010年7月号 文藝春秋 2010年7月号
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文藝春秋で「ドルと人民元の熾烈な攻防」について載っていたのでまとめてみようと思う。
アメリカは金融市場では最大の「借り手」であり、米国債の五割は海外に買われている。そのうち25%は中国だ。中国が米国債を売り払えばドルが暴落する。オバマが胡錦濤に人民元切り上げを強くせまれないのもそれが理由だ。中国にとって「人民元切り上げ」は何を意味するだろうか。1兆5千億ドルのドル建て資産の目減りを意味し、巨額の国富の喪失をもたらすと同時に、輸出産業に打撃になる。しかし、「切り上げ」の情報をいち早くつかめる国営企業はむしろ巨万の富を掴めるチャンスでもあるのだ。中国共産党内部では、胡錦濤総書記は、ただでさえ江沢民前総書記が背後にいる「上海閥」に押されぎみで、党内の支持基盤は弱い。党中央政治局常務委員会(総書記を含め9名)でも多数派工作に難渋し、重要決定事項を若手の多い党中央委員会政治局(25名)にまわしている。建て前上は、中国は海外からの資金の持込みには厳格な規制があるが、いろいろな複雑な手法があるようだ。現在の中国のカネあまりは中国大陸全土にわたる人民元の洪水と言っていい。アメリカドルはその本質から「変動しない通貨」を容認しない存在なのだ。アメリカはドルを自由に発行し、世界に軍事基地を作り、物資を調達し、石油もドルさえ刷れば手に入る。米国債、米企業株式、住宅ローン担保証券などはドル建てになっているからこそ世界の投資家が飛びつくのだ。ドルが過剰になれば、不況や失業などの副作用をともなわない軟着陸の手法は、相手国の通貨切り上げしかない。一方、社会主義市場経済体制を建前にする中国共産党にとっては、変動相場制は共産党の死刑宣告に等しい。中国には「保八」という言葉があり、経済成長率8%を維持しないと、共産党幹部の暗黙の慣行の「横領」が維持できないといわれる。表向きは「8%を維持しないと農村の過剰労働人口を吸収できず、社会不安につながる」とされている。中国は経済成長率8%を維持しないと党への信頼が揺らぐのだ。人民元問題は対話で解決できるような生易しいものではないのだ。
文藝春秋2010年7月号「ドルと元、どちらが勝つか」田村秀男

2010年6月10日 (木)

「悪い奴はたくさんいるじゃないか」~マルサの女

映画「マルサの女」で、おばちゃんが「他に悪いことをやっている奴はたくさんいるじゃないか!」といってわずかな脱税を摘発されたことを怒っていた。賄賂罪においては、保護法益は「公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼」とされている(信頼保護説)。「社会の信頼」を含めたのは、公正な職務でも「対価性のある金銭」をもらったら単純収賄罪にになることを説明するためだとされる。これに対して「職務の公正」のみを保護法益とする「純粋性説」が主張されている。「公務員が何かおかしなことをやっているらしい」という発想を保護法益に含めることは「概念の軽薄な広範性」があると信頼保護説を批判するのだ。
いずれにせよ、賄賂罪とは「職務行為と賄賂の対価関係」が成立要件の中核をなすが、私はかつて、ワイドショー番組の新聞記事で「対価性が必要(法曹関係者)」という記事を読んで自分の不勉強を痛感したことがある。
参考:法学教室1999年3月号「賄賂罪の基本問題」山口厚

2010年6月 9日 (水)

「公園デビュー」と「ダーリンは外国人」

小樽温泉訴訟という事件がある。小樽市の温泉が、ロシア人のマナーの悪さに嫌気がさして「ジャパニーズ・オンリー」という看板を掲げて、外国人を入浴から排除したのだ。もっとも、日本国籍を持った外国出身者も排除されていたので、外見で判断していたようだ。この事実をマスコミにアピールするために、施設を訪問し、実態をマスコミに公表し、訴訟になったのがこの事件だ。日本国籍を持った外国人である有道出人による「ジャパニーズ・オンリー」という著作をベースに、「ダーリンは外国人」という漫画にもなった。結局、「公衆浴場」の「公衆」という意義が問題となり、100万円の慰謝料が認められた。公衆の場といえば「公園」もそうだろう。この「公園」から人を排除する行為が「ママさん」グループでも行われているだろうが、この小樽温泉訴訟から明らかになったのが、「公共空間」においては「人は合理的な理由からのみによって」排除が可能だということだ。たとえ私人間によるものでも、この合理的理由のない排除が「公衆」にむけて「公開」の形で行われたら慰謝料請求が可能となるのだ。「ママさん」たちも「公園」という場所の意味を今一度問い直さなければならない判例だった。
なお、最高裁判例は未公表である。有道氏のホームページ本件訴訟に関するホームページ
参考:法学教室2010年6月号「不法行為判例に学ぶ~社会と法の接点」大村敦志

2010年6月 4日 (金)

血液型鑑定~混ぜると固まる血は輸血できない

人を傷つけると血が出るのは当然だろう。また、分泌型の人は、唾液、精液、汗、尿などにも血液型は反映される。輸血を行う際に「混ぜると血が固まってしまう」ものは使えないのも当然だ。この「凝固」(凝集反応)が、実は血液型鑑定をやる上での核心部分なのである。犯罪現場で、班痕が見つかったら、捜査機関は「血痕か否か」「血液か否か」「人血か否か」を判断し、そして血液型を調べるという手順を踏む。具体的には、肉眼的検査、予備試験、本試験、人血試験の順で実施される。血液型を調べるには「吸収試験」「凝集阻止試験」などが行われることになる。
そもそも、「血液」とは何であろうか。
血球と呼ばれる細胞成分(有形部分)と、血漿と呼ばれる液体成分(無形部分)からなる。血球は、赤血球・白血球・血小板(割合は500対1対25とされる)に大別される。血漿は、循環する細胞外液であり、たんぱく質、ブドウ糖、脂質、ホルモンなど多様な物質を含んでいる。血漿中には血液の凝固に関わるフィブリノーゲンが含まれる。血液凝固が完了したのち凝結塊(血餅)を取り除くと黄色の液体が残る。これを「血清」という。血清は血液中の液体成分から血を凝固させる成分を失った部分であり、抗体(凝集素)が含まれている。赤血球の表面は膜になっており、抗原(凝集原)としての性質を持つ多様な物質がある。抗原の中には人によってあったりなかったりする種類のものがある。これを血液型抗原という。この血液型抗原のあるなしを判断する技術が血液型検査の核心と言ってもいい。血液型抗原は遺伝子に支配されている。
人の血液型は、この抗原に、特異抗血清(血液型判定血清)を混ぜた時に凝集反応(赤血球がお互いに結びついた状態)が起こるか否かで判断される
血液型の分類は、ABO式、MN式、Rh式など幾種かあるが、いずれも赤血球中の抗原と血液中の抗体の反応で判定されるのだ。
ABO式の特徴は、それぞれの型はその型が持っていない抗原に対応する抗体(凝集素)が血清中に存在するということだ。たとえば、A型の人の血液中、赤血球にはA抗原、血清には抗B抗体が存在する。換言すれば、血清中に存在する抗体を調べることによって各人の型が判明するのである。たとえば、抗A抗体は、A型の抗原のある赤血球(A型またはAB型)のみに反応し、他の抗原には反応しない。したがって、ABO式の検査では、まず赤血球につき抗原を調べ(表試験)、次いで血漿につき抗体の検査を実施し(裏試験)、これを照合した上で型判定を行うことになる。
法学教室1997年12月号「刑事手続法入門」三井誠




2010年6月 1日 (火)

商品先物取引~客殺し

東京穀物商品取引所では、とうもろこし・米国産大豆など、東京工業品取引所では綿糸などが話題になっていたが、現物取引ではなければ先物取引になるのだろう。立会いにおいて同一限月の各商品につき、売りつけと買い付けの数量が合致した時に、そのときの値段を単一の約定値段とし、同数量の売りつけと買い付けについて売買約定を締結させる競争売買の方法(板寄せ)によって行っていたが、立会い終了後に、売値と買値の申し出だけで取引を成立させてしまう「バイカイ付け出し」というのが認められていた。売りつけと買い付けの数量に差があることを「差玉」というが、これがあるときは、3割程度を立会いにだし、のこりは「バイカイ付け出し」で売買約定を成立させる。受託者は、委託資金を「委託玉」と呼び、自己の資金を「自己玉」と呼んでいたが、「差玉向かい」に自己玉と委託玉を対立させて取引を成立させると、どちらかが利益を得てどちらかが損をする。この「自己玉」が利益を得て、「委託玉」が損をする、という仕組みで「委託を募集する」ことを「客殺し」と言うようだ。必ず損をする商品先物取引のことだ。
ジュリスト2010年6月1日号「時の判例」絹川泰毅

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